クリッピングについて考える(5)― 飛べる鳥との暮らしPart 1

パム・クラーク著


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(定義)

この文章における「飛べる鳥」とは、クリッピングされておらず、自分の意思で屋内を飛んで移動することができる飼い鳥のことを指します。クリッピングされていなくても、何らかの理由で自発的に飛ばない飼い鳥は含みません。また、フリーフライトと呼ばれる、屋外で自由に飛ばしている飼い鳥も該当しません。


クリッピングするのが当然と考えている方に私の話をすると(クリッピングせずに鳥を飼っていること)、恐怖と困惑、そして不安が入り混じった顔をされます。クリッピングしない理由も分からないし、クリッピングしない鳥との生活なんて想像すらできないようです。

私がクリッピングを止めたのは1990年代後半のことです。鳥と長く暮らすうちに、鳥が自由に飛べないなんておかしいと思うようになりました。そこで、どうにかなるさ、という根拠のない自信と熱い想いだけで、クリッピングを止めることを決意しました。

ただ、これからクリッピングを止めようとする方には、わたしのように思いつきで決断することはお勧めしません。後であたふたしないためにも、色々な方の経験談を聞いてから決めてください。このブログもそのひとつになればと思います。

1. 成功のカギ

飛べる鳥と上手く暮らすポイントは3つあります。第一に、環境を整えること。第二に、常に鳥に心を配れるように飼い主自身がトレーニングを重ねること。第三に、鳥に対して効果的な行動トレーニングを行うことです。鳥と飼い主の両方に、トレーニングが必要なことを認識しましょう。これができなければ、飛べるようになった鳥に手を焼いて、すぐにケージに戻すことになります。

QOL向上のひとつは「選択」です。鳥が自由に飛べるようになると、行きたいところに行けるようになるので、行動の選択肢がぐんと増えます。クリッピングを止めたはいいが、ケージの中の時間が延びたとなれば、QOLはまったく向上しません。それならば、クリッピングしないほうがマシだったということになってしまいます。

2. 環境の調整

以前、私がヨウムをお譲りしたご家族は、理想的な環境を整えるために、家全体をリフォームしました。部屋の扉をすべてとっぱらい、キッチンキャビネットはすべて天井まであるものに変えました。壁に冷蔵庫用のくぼみを作って、そこに冷蔵庫をはめこみ、鳥が上に乗れないようにしました。見事なほどに、家を「飛べる鳥」仕様に変えたのです。

ここまで完璧にしなくても、少なくとも手を加えて、飛べる鳥と飛べない人間が共に暮らせる環境を作る必要があります。鳥は高い場所に止まろうとするので、飛べるようになれば、自由に好きな場所に行きます。本棚にとまって背表紙を齧るし、ランプシェードも齧ります。扉の上に止まって、縁を齧るのも大好きです。

齧って欲しくなければ、鳥専用の家具を準備しましょう。鳥が飛んでいける部屋すべてに、止まり木を設置するのが理想的です。野生の鳥は群れで暮らしているので、群れの仲間である飼い主が部屋から部屋に移動すれば、鳥は付いていこうとします。止まり木を天井から吊り下げたり、自立式の止まり木やテーブル置きの止まり木を使ったりすれば、どの部屋に行っても鳥は楽しめます。

特にお勧めしたいのが、ぶら下げ型の止まり木です。取り付けや保守が面倒だなと思うかもしれませんが、あるとないとでは大きな違いが生まれます。鳥は本能的に高い場所を探します。天井から吊り下げるタイプの止まり木を設置すれば、好んでそこに止まるので、人間用の家具を齧ることも減っていきます。

止まった場所を齧るのも鳥の本能です。窓枠や壁の隅もよく齧ります。そういう場所には、ホームセンターなどで売られている、コーナーに取りつけるアクリルカバーを試してみてください。階段の手摺りには麻のロープを巻くと齧られるのを防げます。食器棚の上を齧る場合は、ひとまわり大きめアクリルか木製の板を上に置けば、棚本体を齧られずに済みます。冷蔵庫の上も同じです。シーリングファンに止まって、ファンのハネを齧るのも大好きです。シーリングファンを付けたいときは、ケージのようなものでファン全体が覆われたものを購入すると安心です。

電気コードを齧られると危険なだけでなく、電化製品を買い替える羽目になることもあります。設置型のカバーや、チューブ型カバー(真ん中に切れ目が入っているので簡単に巻くことができる)を使って電線を覆いましょう。シャワールームやお風呂場に入る場合は、そこにも専用の止まり木を設置します。

初めてクリッピングを止めたときや、2~3年クリッピングされていた鳥であれば、最初はあまり飛ばず、他の部屋に行くこともないかもしれません。その場合、ここで紹介したことが大げさに感じるかもしれませんが、飛ぶことに慣れて自信がついてくると、行動範囲が広がっていろんな場所に飛んで動き回るはずです。

続きはプレミアム記事でお楽しみください。

Pamela Clark, 2019.5.8執筆
翻訳:小林由香

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