アボカドからのガスも鳥には危険？

コース9 鳥が安全に暮らすために
2時間目　アボカドからのガスも鳥には危険？

Laura Doering著

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【お断り】
Lafeberが調べた限り、アボカドを揚げたときに生じるガスが鳥に与える影響に関する研究はありませんが、可能性がゼロではないため紹介します。

アボカドの危険性は既にご存じだと思いますが、アボカドそのものだけでなく、アボカドを使った料理（ワカモレソースなど）を鳥が口にして亡くなる事例もあります。人間にとっては健康に良いとされるアボカド。年々人気が増し、アボカドを使ったレシピもたくさん紹介されていますが、ある悲しい事故から、ひとつの疑問が生まれました──アボカドを揚げたときにでるガスも鳥に危険なの？

カルフォルニアでシロハラインコ2羽と暮らしていた女性に、ある日、悲惨な出来事が起こりました。料理教室で習ったアボカドてんぷらを家で作ってみたところ、揚げ始めて数分後にシロハラインコたちが重篤な呼吸困難に陥ったのです。彼女はすぐさま動物病院に駆け込みました。

対応したテレサ・ミッコ獣医師にお話を伺いました。

Q: 　最初にそのシロハラインコ達を見たとき、どこが悪いと思われましたか？

ミッコ獣医師：　2羽ともに呼吸困難の状態で、特に一羽が重症でした。すぐに酸素室に入れ、状態の悪い一羽には酸素マスクをつけて高濃度酸素を与えました。最初に頭に浮かんだのはテフロン中毒でした。看護士による聞き取りでは、料理中に鳥が倒れたということでした。

Q: 飼い主さんは経緯についてどのようにお話されましたか？

ミッコ獣医師：　テフロンコーティングされた調理器具を使っていたか聞いたところ、絶対にそれはないとの回答でした。テフロン中毒については知っていると。2羽とは4年間一緒に暮らしていて、同じ調理器具を使っているが、これまで一度も問題はなかったとのことでした。換気のために窓も開けていたそうです。鳥達はキッチン横のリビングルームにいました。その日、すでに一時間ほど料理をしており、まず魚のフライを作って、それから油を変えてアボカドを揚げ始めました。揚げ始めて15分くらいたった時、リビングルームがやけに静かなことに気づき、鳥たちの様子を見に行くと、一羽が倒れており、もう一羽は隅の方でうずくまっていたそうです。病院に連れて来られて一時間後に、重篤だった一羽は亡くなりました。もう一羽はその夜に回復し、翌日家に帰ることができました。亡くなった一羽には検視を行いました。

Q: 検視の結果は？

ミッコ獣医師: 両方の肺に重篤な肺水腫があり、呼吸器の上皮細胞肥大（細胞の腫れ）を確認しました。また出血を伴う脳うっ血もありました。これはガスや煙による中毒症状に匹敵します。その他の試験はすべて陰性でした。

Q: なぜ原因を特定するのが難しいのでしょうか？

ミッコ獣医師：　検視をした病理学者によると、この肺の状態は何らかのガス中毒によるものと考えられるそうです。鳥類のガス中毒に関する報告書の多くは、テフロンや焦げ付き防止調理器具が過熱されて発するガスによるものですが、有毒ガスはそれ以外にもあります。たとえば、エアゾールスプレー、家庭用ガス、一酸化炭素、タバコの煙、ろうそくの煙、焦げた煙などです。ただその原因は推測しかできません。実際にそれを使ってテストするわけにはいきませんし、いずれにしても結果は同じだからです。さらに吸い込む量によって中毒のレベルは変わってきます。これまでも、濃度の低い有毒ガスを長期的に吸い込むことで、慢性的下部気道疾患や感染症、呼吸器疾患に罹りやすく、また再発しやすい鳥を診てきました。

Q:  調理中の煙やガスから鳥を守るために何ができるでしょうか？

ミッコ獣医師：　飼い主さんにいつもお伝えしているのは、台所から離れた場所にケージを置くことです。調理中や掃除中は特に注意が必要です。そして換気を十分に行うこと。調理以外にも、スプレーやパウダー類、ホコリ、あらゆる煙を鳥に近づけないようにお願いしています。慢性的な下部気道疾患はヒトの死亡原因のひとつでもあります。鳥だけでなく皆さんご自身にとっても注意すべきことだと思います。

【追記】　アボカドオイルを買う前に
アボカドオイルは身体によく、これまでの料理油に代えて使う人が増えています。ただ、鳥業界に従事する人からは、鳥を飼っているご家庭ではアボカドオイルを控えたほうが良いとの意見があります。「敢えてリスクを取る必要はない」という考えです。

2018/1/13 Laura Doering 寄稿記事
翻訳：小林由香

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