コース13 鳥の体を知ろう: 目のおはなし ①

鳥類は視覚が突出した生き物です。鳥類の目は空を飛ぶために進化し、その特徴も独特です。渡りをするときも、視覚的な手掛かりをもとに移動します。能動的に焦点をすばやく調節することができ、また、紫外線を見ることができます。網膜の神経節細胞と光を受ける受容器が1:1の関係で光を投射できるなど、さまざまなメカニズムによって高い視力を獲得しました。

1. 鳥類の眼―解剖学と生理学

鳥類は、脊椎動物の中で、視覚への依存度が最も高い生き物です。人類も視覚に強く依存していますが、脳に伝達される視覚情報を、ハトやニワトリを100とすると、人間はその40%しか伝達していません。中でも、猛禽類は非常に多くの情報を脳に伝達できます。ハトは微妙な色の違いを見分けることができ、また他の鳥も、食料を貯蔵した場所を6,000通りのイメージとして記憶することができます。

鳥類の目は頭の側方または正面についています。捕食者である猛禽類の多くは、正面に目があります。インコやオウムのように横に目がある場合、総視野はとても広くなります(正面に目があるメンフクロウの総視野は150°、横に目があるハトの総視野は300°)。ただし、総視野が広くなればなるほど、両眼視野(両眼で同じものを見る範囲)は狭まります。正面に目があると、両眼で同じものに焦点を合わせるので、両眼が一緒に動きます。横に目がある場合は、それぞれの目が別々に動いて違うものに焦点を当てています。インコやオウムは後者のタイプです。

鳥類の眼球は、角膜がある前眼房と、強膜骨(きょうまくこつ)などがある中間部、そして硝子体がある後部で構成されています。強膜骨は鳥類の眼球を形作る役目をしています。鳥類の眼球の形は哺乳類とは異なり、次の3種類に分けられます。

  • 平状型

昼行性で頭が小さい鳥。視軸(網膜から角膜までの長さ)が短いため、網膜に映る視覚像が小さく解像度が低い。

  • 球状型

昼行性で頭が大きい鳥(インコ・オウム、猛禽類)。眼球の中間部が円錐状になっていて、解像度が高い。

  • 筒状型

夜行性の猛禽類。眼球の中間部がやや細長い形をしている。

鳥類の網膜は平坦な形をしているので、光が入るすべての方向に対して、焦点が合います。鳥類の眼球には次の3つの層があります。

  • 外層の線維性被膜 – 角膜と強膜(眼球の外側をつくる、いわゆる「白目」部分)
  • 中層 – 血管層
  • 内層 – 神経(網膜)層

2. 線維性被膜

眼球の一番外側の層で、眼を形作る部分です。角膜は比較的小さく、特に潜水型の鳥の角膜は小さくなっています。また、球状型、筒状型の目では角膜が強くカーブしています。水中と比べると、空気中では角膜の光の屈折率が高くなります(屈折率が高いほど焦点に合わせて光を多く通すことができ、多くの情報を網膜に映すことができる)。

鳥類の強膜は、強膜骨とヒアリン軟骨(軟骨組織のひとつで、ガラスのように半透明な軟骨)の層で支えられています。これらの骨や軟骨は重なり合ったリング状になっていて、毛様体筋(水晶体を調節してピントを合わせる筋肉)を支えています。哺乳類と同じく、鳥類も眼から分泌される液体で眼圧(眼球内部の圧力)を維持しています。この液体は、強膜の近くにある強膜静脈洞(シュレム管)という管を通って排出されます。ここが詰まると、液が排出できずに眼圧が上がり、緑内障の原因となります。

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(2013/4/12 by Susan Orosz, PhD, DVM, Dipl ABVP (Avian), Dipl ECZM (Avian)寄稿記事)
翻訳:小林由香

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