コース2 鳥が幸せに暮らすために
2時間目その1 - 鳥と他の動物を一緒に飼う -なぜ注意が必要なのか
ある鳥好きの集まりで、飼い鳥と飼い犬にまつわる悲惨な出来事の話が広まりました。そのお家では30歳のオオキボウシインコと犬を一緒に飼っていて、ずっと何の問題もなく一緒に遊ばせていたそうです。オオキボウシインコは自由に家の中を歩き回れる状態だったそうですが、あるとき食事中だった犬に近づき鼻を噛みました。すると犬は驚いて本能的にオオキボウシインコの羽を掴み、飼い主の目の前で引きちぎってしまったのです。オオキボウシインコはすぐに病院に運ばれましたが残念ながら安楽死せざるを得ない状態でした。自分の愛鳥が愛犬によって命を奪われる現場を目の当たりにし、飼い主さんはこれから一生その光景に苦しみ続けるでしょう。ずっと一緒に遊ばせていたけどこんなこと一度もなかったのに、、、とおっしゃっていたそうです。
似たような事故は他にもあります。鳥類専門のクレア・フェイヒー獣医師からは、飼い犬に羽を噛みちぎられたオカメインコが救急で運ばれてきた報告がありました。幸いにもそのオカメインコは一命をとりとめましたが、羽を失い、胸を縫う大怪我を負いました。また、ジョージ・ソマーズ氏は「From the parrot’s beak」というコラムの中で、留守中に友人にお世話をお願いした結果、命を落としてしまった自分のメキシコシロガシラインコについて書いています。その友人はシェパードのミックス犬を飼っていたので、犬が部屋にいるときは鳥をケージから出さないようにお願いして預けました。ですが友人は、少しくらいなら大丈夫だろうと、鳥がケージの外にいる状態で犬を連れてその部屋を横切ったのです。驚いた鳥が飛び立った瞬間、犬が飛びつき、あっという間に命を奪ってしまいました。
鳥類専門のステファニー・ラム獣医師からは3件の事例が報告されています。1件目は、キエリボウシインコを含め鳥5羽と保護犬3匹を飼っているご家庭のケースです。このお家では鳥と犬の接触がないように普段から気を使っていましたが、ある晩、放鳥しているときに電話が鳴ったため、少しだけと思い電話に出て鳥たちから目を離したすきに犬が部屋に入り込んで、ケージの上で遊んでいたキエリボウシインコに襲い掛かりました。急いでラム獣医師のいる病院に連れて来られましたが、着いたときには既に息を引き取っていました。キエリボウシインコのお腹には大きな穴が開いていたそうです。
2件目は、ヨウムとチャウチャウ犬を一緒に飼われているご家庭です。このチャウチャウ犬はいつもヨウムを狙っている状態で、1年前にはケージ越しにヨウムを捕まえようとしてヨウムの目を引っ掻き、片目を失明させました。次は床を歩いていたヨウムをチャウチャウ犬が襲い、顔に複数の刺創を負わせました。一部は副鼻腔まで達する深い傷で、嘴も真ん中より下が折れた状態でした。人口嘴を作って折れた嘴を補完し、投薬と酸素吸入を行いICUで5日間手当した結果、一命をとりとめ家に帰ることができましたが、全治2か月以上の大怪我でした。それ以降、その飼い主さんがヨウムとチャウチャウ犬をどうしているのか情報がないそうです。
3件目は幾度となく怪我をしているオオハナインコの例です。このオオハナインコは中型犬と一緒に飼われており、いつも一緒に「遊んで」います。遊んでいる中でどんどんエスカレートし、オオハナインコが刺し傷を負ったり、嘴が掛けたり、内臓出血や神経を損傷するにまで至っています。ラム獣医師は飼い主に何度も、一緒に遊ばせてはいけないと注意していますが、いつかオオハナインコが命を落としてしまうのではないかと心配しています。
次回その2ではなぜこのような事故が起こるのか、そして事故を防止するにはどうすれば良いのかについてご紹介します。
2019/5/8 Amy Hopkins寄稿記事
翻訳:小林由香
Lafeber社より当該記事の翻訳及び掲載許可を得て掲載しております。
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Dog Photo by Robert Larsson on Unsplash
コメント
コメント ( 5 )
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やはり、このような悲しい事故がたくさん起こっているのですね。。。YouTubeなどでも他の動物さんと一緒に暮らし、一緒に遊んでいる動画などもアップされていて、とても微笑ましい光景です。が、どんなに赤ちゃんの時から一緒で、どんなに仲良しでも、何かに驚いた時などは頭で考えるより先に行動が出てしまう、本能ですから仕方ないですよね。
このような事故で一番心に傷を負うのは飼い主さんなんだと思います。悲しい事故がひとつでも無くなるように、このような話がもっと伝えられるように(お迎え時にショップなどから)なればと思いました。
今回はちょっとショッキングな内容でしたね。。
でもこの記事はけして、鳥と他の動物を一緒に飼ってはいけないと言っているのではなくて、安全に全員が幸せに暮らすにはどうしたら良いかということを最終的には伝える内容になってます。
それはパート2で詳しく出てくるのですが、まあくさんのコメントはまさにパート2で伝えたいことの核心をついてます。さすがです。
仲良くしていても、何かがキッカケで襲ってしまうことになってしまうのですね。犬や猫などからしたら、戯れたつもりなのに怪我に繫がったり、記事のように本能でスイッチが入り大怪我や命を落としてしまうことになってしまう。
悲しい事故にあわせないためにも、次回の投稿を心待ちにします。
10年ほど前は犬2頭、鳥さんとともに飼っていましたが、狩猟犬でもあるダックスフンドでしたので、とても気を使ってお世話していました。幸い大きな事故はなかったのですが、この事例を読んで思い出すこともあり震えてきました。現在は大型、中型、小型の鳥さんのみですが、文鳥がケージ隣にいるボウシインコに親しさを感じているのか自由にしているときに同じ止まり木に止まったり、近づこうとします。
今までは離れた位置にいたのに、、、、今は目が離せません。
鳥同士でも放鳥しているときは、絶対に気を緩めてはいけないと教訓しました。
私もセキセイ、ウロコ、コザクラを飼ってますが、以前、セキセイの足をコザクラが噛んだこともあり、3羽とも個別放鳥してます。セキセイは気が強くて、絶対に勝てっこないのにウロコに喧嘩を売りに行きますし(^^;;
鳥同士でもお互いに怪我をさせる可能性があるので、他の種類の動物さんと一緒に飼う場合はさらに注意が必要になりそうですね。