
Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター
ロロパーク財団では、繁殖期が進行中です。今年は例年より雨が多く、鳥たちはこうした環境の変化を非常に敏感に感じ取っています。植物もよく育ち、気温の変動も少なく、より穏やかな環境が整いつつあります。気温自体は過去の繁殖期より低めではありますが、それでも鳥たちにとっては快適なようです。
種やペアによっては、今まさに繁殖が始まったところであり、すでに2回目の産卵に入っているペアもいます。この時期の受精の評価は非常に重要で、それぞれのペアの状態を把握し、必要に応じて改善策を講じることができます。
若いペアの最初の卵に受精を期待するのは難しいものです。特に中〜大型種においては顕著で、4歳を超えて初めて繁殖能力を発揮することが多く、互いを知り、「見えない手順」に慣れる必要があります。メスには、巣を守り、巣内で過ごすメスに餌を運ぶオスが必要です。何よりも、求愛行動でタイミングを合わせる必要があります。これらの要素がペアの成功を左右し、多くの種において、繁殖サイクルの確立には数年を要するのです。
他の小型の鳥と比較して、大型の鳥が短期間で多数の繁殖を行うことはあまりないため、この点を理解しておくことが重要です。
鳥のペアは、数年間うまくいかないこともありますが、最終的に相性が合うようになる場合もあります。逆に、繁殖に至る結びつきが一度も形成されないこともあります。だからこそ、最初から互いに選び合う「調和の取れたペア」を作ることが非常に重要なのです。ただし、それが常に可能とは限りません。

抱卵期間中によく見られる現象
- 巣外への産卵
- 巣内での卵の破損
- 無精卵/発育停止した受精卵
- 孵化しない卵
- 一つの巣に多すぎる卵
- 卵はないが、産卵の兆候あり
- 殻が薄く脆い卵
これらの各ケースには理由があり、解決策もあります。ただし、ペアの年齢や取り巻く状況を踏まえることが大切です。
メスが産卵に問題を抱える場合、低温や栄養不足が原因であることが多く、巣外に産卵したり、タイミングがずれることがあります。正常であれば、卵は早朝に産まれるのが一般的です。
卵が壊れていたり、巣から取り除かれていた場合、それは成熟していない個体の行動に起因します。オスが卵で遊んだり、中身を食べてしまうこともあり、これは栄養や行動の問題によるものです。改善のためには、適切な対策が必要です。
胚発育が途中で停止したり、雛が孵化しない問題は、特に若いペアでよく見られます。オスがメスにストレスを与えていたり、抱卵が安定していない場合などです。また、細菌感染、寄生虫、栄養不足なども原因になり得ます。各要因を慎重に調べ、繁殖期中でも可能な限り負担をかけずに対応すべきです。このような場合、人工孵化の導入は状況の評価に役立ちます。
無精卵は、毎年の初産卵や新しいペアによく見られます。2回目以降の孵りでの受精率を上げるためには、ビタミン補給や環境改善といった修正措置が効果的です。
巣内の卵が多すぎる場合、雌同士のペアリングが原因である可能性があります(性別の誤認)。または、古い卵と新しい卵が混在してしまっていることもあります。この場合、孵化のタイミングがずれ、成功率が下がります。
メスがホルモンや行動面で不安定になると、多産や間隔を空けた産卵が起こることがあります。また、産卵困難によって卵を保持してしまうことも。こうした場合は卵を取り出し、抱卵が重なっている別のメスや孵卵器に移すのが良いでしょう。孵化時期がそろった少数の卵をケアする方が、メスにとっても負担が少なくなります。
卵が見つからない場合でも、実際には産卵され、ペアのどちらかが破壊・除去した可能性があります。また、外部の捕食者による盗卵も考慮する必要があります。
殻が柔らかく、気孔が多い、または変形している卵は、カルシウム代謝の問題が原因であることが多く、カトルボーン、鉱物石、吸収性の高いサプリメントで補う必要があります。太陽光を浴びることも有効で、室内飼育の場合は紫外線ライトを確認する必要があります。ライトは見た目の光を発していても、必要な波長が失われている場合があるため、定期的な交換が必要です。

繁殖期直前の一年草は、自然なカルシウム供給源として非常に重要です。また、抱卵末期のメスが水浴びできるようにするのも、雛の孵化を助ける大切な要素です。
©2025 Rafael Zamora Padrón, M.Pérez – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局
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