繁殖期の準備の始まり

Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター

一年の終わりそして次の年の始まり・・・鳥の飼育において未研究の領域に踏み込みます。この時期、新たな繁殖期を迎えるためにフライトを準備する必要があります。繁殖期は2月または3月頃から始まりますが、オウムにとって、雛が無事に生まれるかどうかは一年の最初と最後の2か月にかかっています。

どのブリーディングセンターも、飼養・衛生・食事面の管理が必要な期間を計算しなくてはいけません。繁殖期でないからといって、生き物に注意を払う必要はないと考えるべきではありません。逆に、彼らには多くの作業を伴う別のニーズがあります。多くの場合、たった1つ忘れてしまうだけで、繁殖期が進むと同時に問題が発生します。
そのため、それらを気に留めておくこと、それぞれの項目を完了するよう各シーズンの終わりにリストを作成することが重要です。

フライトの掃除と改修


外観


止まり木
環境をよくするための工夫

フライト内のスイングパーチ
必要により改修される
フライト内には大小サイズの異なる止まり木が設置されている


内側および外側の清掃

駆虫
最も使われている表面または寄生虫が宿っていそうな場所に火をつけます。
床に消石灰を使って寄生虫を避けることもします。

害虫駆除

げっ歯類、爬虫類、昆虫は、どのブリーディングセンターでもよくある問題です。そのためこれらを管理する計画が必要です。一般的に手遅れになりそうな時も、計画を繁殖前に準備しておくことで、ペアが土壇場の変更に直面することを避けることができます。

猛禽類と外部の鳥の管理

猛禽類は、多くのオウムにとって深刻な問題となることがあります。彼らが頻繁にフライトの上を飛ぶだけで、オウムが落ち着かない、見つけにくい問題が発生する可能性は十分あります。このため、オウムが隠れられて安全に感じることができる屋根が必要です。同じように、周囲を囲む防御線によって、若いフクロウや鷹による攻撃を防ぐことができます。

一般的に猛禽類はオウムを襲うことはありませんが、狩りを習っていない若い猛禽類は、簡単に捕まえられそうな餌に興味を持つかもしれません。例え捕まらなくても、オウムたちが恐怖を感じるだけで、充分大きな被害を及ぼします。

また別の点で、シードやフルーツの残りものを食べるためにフライトの周りを動き回っているスズメなどの小型鳥、コキジバト、地域特有の鳥は危険です。これらの野生動物は、寄生虫や病気に感染していることが多く、簡単にオウムに感染する可能性があります。そのため、接触は避けなければなりません。

ロロパーク財団では、飼育している鳥をよく調べ、衛生面に細かく気を配り、今年生まれたひな鳥が力強く成長するよう運動をさせる時期になりました。最も重要なことは、今年繁殖したペアが次のシーズンにも同じように繁殖できるように準備をすることです。

繁殖シーズン中に記録されたデータを見直すと、相性が良くなかったり、繁殖の結果がよくなかったペアが見つかるでしょう。休みとされる期間中に彼らに注意を向けることは、どの変更が一番良かったのかを調べるのに最高の時期です。

クルマサカオウムのペア

冬期、オウムの行動は穏やかになり、飼育員は繁殖前には見ることができない細部まで見ることができます。オウムは、小さな問題を隠すことができる本物の俳優です。例えば、足の内部の怪我。軽度の脱臼や骨の亀裂は、よく見過ごされ、無精卵やペアの不仲の原因となります。これらは、ペアの両方が完璧な状態でなければならないこと、そして観察によってペアの睦まじさを実現しないといけないのは飼育員であるということを表しています。

©2020 Rafael Zamora Padrón – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局

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