鉛中毒と症状

WING YOU公式インスタグラムではAAV(鳥類獣医師協会)のインスタ投稿を翻訳して紹介しています。今回は「なめてはいけない 鉛中毒」の投稿を更に深堀した内容をご紹介します。(WY事務局)


鉛中毒とは

鉛は重金属の一種で、体内に吸収・蓄積されると有毒です。鉛中毒はヒトだけでなく飼い鳥にも発症しますが、残念ながらまだ認識が甘いのか、鉛中毒で病院に運ばれてくる鳥が後を絶ちません。治療により回復するケースが殆どですが、何よりも予防が大切です。日常生活にある鉛の存在と鉛中毒の原因、また鳥に現れる症状について解説します。

鉛は身近に潜んでいます。分かりやすいもので言えば、安価で売られているアクセサリーやインテリアグッズには鉛を含む金属が使われていることがあります。

イメージ写真 Photo by Martin de Arriba on Unsplash

またステンドグラスや電化製品にも鉛で溶接されているものがあります。一見、分かりにくいものとして、鉛を含む塗料が使われているものを鳥が齧ったり、破片などを吸い込むケースもあります。またガラスのビーズやラインストーンには、鉛ガラス(クリスタルガラス)が使われているものがあります。意外なところでは、釉薬が塗られた陶器(特に剥がれていたり、腐食しているもの)やビニール製の古いミニブラインドにも鉛が使われているものがあります。

米国消費者製品安全委員会によると、1997年以前に中国、インドネシア、台湾、メキシコから輸入されたビニール製のミニブラインドには鉛が多く含まれているということです。私もこのミニブラインドを齧って鉛中毒になった鳥の治療を数件行いました。

鉛中毒の症状

鳥が万が一、鉛中毒になってしまった場合、どのような症状が出るでしょうか。鉛中毒による体への影響は様々です。体内に入った鉛の多くは消化されずに便として排出されますが、一部は小腸で素早く吸収されてしまいます。また鉛を含む塗料の粉塵を吸い込むと肺で吸収されます。

鉛は赤血球に付着しやすいため、血液を通じて体中の組織に到達します。多くは骨に蓄積し、2-4%程度が血液や臓器に残ります。骨に蓄積した鉛は何年も残るため、鉛を摂取してから数年後に体内に放出される恐れもあります。例えば産卵時、メスは骨からカルシウムを取り出して卵を作るため、そのときに骨に蓄積されていた鉛も放出されることがあります。

症状は様々で、赤血球や血管がダメージを受けることによる貧血、中枢神経や末梢神経の機能低下、腎臓へのダメージなどがあります。

摂取量や体内への吸収スピードにより症状は異なりますが、急性症状は神経障害で、痙攣や失明、昏睡、斜頸捻転、運動失調や衰弱といった症状が起こります。また飲水量が増えることによる多尿や血尿、尿や尿酸が緑色になる場合もあります。漠然とした症状としては、嗜眠や食欲不振、嘔吐などがあります。慢性症状として、体重減少、筋肉の萎縮、胃腸の運動性低下などが見られます。

ただし、これらの症状は鉛中毒以外でも現れることがあります。では獣医師はどのようにして鉛中毒と診断するのでしょうか。引き続きプレミアム会員投稿でご紹介していきます。

What does lead toxicosis look like?
Lead toxicosis: not a matter to be taken lightly
Posted By Brenna Fitzgerald, DVM, DABVP (Avian Practice), AAV Member-at-Large, Friday, September 10 and 27, 2021
翻訳:小林由香

AAVより当該記事の翻訳及び掲載許可を得て掲載しております。
当サイト内の全てのテキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

関連記事一覧

コメント

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。