1時間目 鳥に対するタバコの危険性

コース9 鳥が安全に暮らすために

1時間目 鳥に対するタバコの危険性


タバコは鳥に限らず、人間、犬、猫、ほとんどの生き物にとって体に悪いものです。今回は、それでもタバコを止められない方に、鳥のために取れる安全対策についてお話します。電子タバコも鳥には有害なので注意してください。

タバコの3つの危険性

まず一つ目は煙です。鳥の呼吸器は非常に敏感で、気嚢にはヒトの肺が有毒物質をフィルタリングするような機能がありません。テフロンコーティングされた調理器具などが鳥に非常に有毒なのはこの理由からです。また鳥の呼吸はヒトよりも何倍も早いため、煙を吸い込む量も多くなります。そのため、かつて鉱山に入るときにカナリアが連れていかれました。どうしてもタバコを吸いたくなったら、屋外、さらに室内への換気口から離れたところで吸ってください。換気口近くで吸うと、煙がそこから家の中に入ってしまいます。

二つ目は家具や壁、そして鳥の体に付着してしまうニコチンです。屋外で吸ったとしても、手や服にニコチンが付着しています。タバコの煙に直接あたるときだけでなく、ニコチンが付いた手で触られただけでも、羽がくすんだり汚れたり、油っぽくなります。さらにその状態で羽繕いをすることで、有毒なニコチンが口に入ります。羽に付いたニコチンは簡単には取れないので、羽ごと抜いてしまうこともあります。また足にニコチンが付くと、皮膚病の原因にもなります。タバコを吸ったときは、鳥に触れる前に必ず手や皮膚の露出箇所を石鹸と水でしっかりと洗いましょう。

三つ目は吸い殻です。吸い殻は鳥が近づけない、齧れない場所に捨ててください。たとえ最後まで吸いきっても、吸い殻には全体の25%程度ニコチンが残っています。鳥がニコチンを摂取すると、ほとんどのケースで15~30分以内に急死します。ニコチン中毒の症状には、痙攣や錯乱、流涎、嘔吐、てんかん、虚脱などがあり、死に至ることもあります。

鳥の周りで電子タバコを吸わないで

新しい脅威が電子タバコです。電子タバコには水を含んだニコチンと様々な化学物質が使われており、温められることで蒸気として出てきます。従来のタバコよりも安全と言われていますが、まだ確実なことは分かっていません。ニコチンが有毒なだけでなく、中に入っている溶液には不凍液成分やホルムアルデヒドなど、少なくとも数十種類の有害な化学物質が含まれると言われます。このニコチン溶液は従来のタバコのニコチンよりも濃度が非常に高いため、万が一、鳥が口にしてしまうと、急死する危険性が跳ね上がります。鳥が近づける場所には電子タバコを絶対に置かないようにしてください。

マッチも鳥が近づけない場所に保管

マッチの先端は、塩素酸カリウムや硫黄、デンプンなどを混ぜたものでコーティングされています。擦って発火させる場所にはリンが使われています。柄の部分は木で出来ているので、齧るのが好きな鳥達の側にマッチがあればオモチャ認定されてしまいます。先端部を齧れば急性中毒になり死に至ることもあるため、マッチは必ず鳥が近づけない場所に保管してください。使った後は、水にさらしてすぐに捨てましょう。

マッチはタバコ以外の用途でも使うので、タバコを吸わない方も注意してください。その辺に置きっぱなしにすれば、鳥にすぐに見つかってしまいます。必ず鳥が近づけない場所に保管をお願いします。

ご自身が吸わなくても、友達や家族に喫煙者がいれば同じです。タバコを吸う人には、鳥に触れる前にしっかりと手や体を洗ってもらうようお願いしてくださいね!

2019/6/4 Amy Hopkins 寄稿記事
翻訳:小林由香

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