大切な命のために忘れてはいけないこと 5
外来種の影響で姿を消したのは飛べない鳥だけではありません。
北アメリカ・グアダルーペ島に生息した2種の鳥は1900年初期に、人により持ち込まれた猫が原因で絶滅しました。
グアダルーペハシボソキツツキは キツツキにはまれなほど警戒心の薄い鳥だったといわれています。
体も大きめで火山島の崖に生える松などに巣を作って生息していました。
かなり高い位置に営巣していたといわれますが 人の持ち込んだ猫は簡単に木を上り巣の中の雛や卵を
襲撃しました。
猫は 地上に降りてくる親鳥も簡単に捕獲したといわれています。
グアダルーペハシボソキツツキは 研究者やコレクターによる捕獲の被害もその絶滅に加担していました。
1906年ある博物館のコレクターが6羽の標本と卵8個を最終しましたが これが最後になりました。
グアダルーペコシジロウミツバメは 島の過酷な環境でも生き抜く力のある鳥でした。
海での生活にも順応し嵐の中でも強く生きる鳥だったといわれています。
傾斜の激しい崖、地上750mほどの場所に巣を作り生息していました。
しかし 人により猫が持ち込まれたことで巣が襲撃されるようになったことで撃滅したといわれています。
この鳥は ヒナが羽化するとヒナを巣において採食に出掛ける習性があり、巣に残されたヒナが全滅する結果に
なりました。
当時研究者は「ツバメはまだまだ無限にいる」という記録を残しましたが、1911年以降 鳥の目撃情報は
なくなりました。
鳥類の中でも捕食者の位置を占める猛禽類。
その一種フクロウも 移入された動物には勝てませんでした。
西インド諸島に生息していたアンティグアアナホリフクロウは 現存するアナホリフクロウの亜種で白亜質の崖に
穴を掘って住んでいました。
1800年代移住してきた人間が 蛇やネズミを撃退するため、マングースを移入しました。
島中に広がったマングースたちは 蛇やネズミより攻撃しやすいフクロウの巣を襲撃しました。
慌てた一部の保護活動家により西インド諸島全域でマングースを排除、その後の移入は禁止されましたが
時すでに遅くアナホリフクロウたちは1900年 すべて絶滅したと報告されました。
ニュージーランドには ワライフクロウが2亜種存在していた。
名前の由来はその鳴き声。同じくニュージーランド・オーストラリアに棲息するワライカワセミ同様
高笑いに似た大声で鳴いていました。
フクロウたちは 島に生息するネズミを食べて生活していました。
やがてニュージーランドにもヨーロッパ人が移入した際、彼らは趣味のハンティングの獲物としてアナウサギを
持ち込みました。
アナウサギは フクロウたちにとっても格好の獲物となりましたが 繁殖力がすさまじく、フクロウ以外の
敵のいない島で増えすぎて農作物まで荒らす害獣になりました。
人々は ウサギを撲滅するために フェレットやオコジョを持ち込みましたが 彼らはウサギより簡単につかまる
フクロウの雛や卵を狙うようになりました。
1914年、ニュージーランドのすべての島で ワライフクロウたちは姿を消しました。
どんなに飛行にたけている鳥でもヒナや卵は無防備です。
そして新しい敵に対するためには長い時間と経験が必要です。
その動物が安心して暮らせる世界を その環境を守る努力が常に必要なのだと思います。
コメント
コメント ( 2 )
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ぴよろぴ~なさんのブログを拝見し、こんなに沢山の種が絶滅して来たんだと驚きでいっぱいです。ぴよろぴ~なさんは鳥にフォーカスしてブログをあげてくださっていますが、鳥以外にも魚類・爬虫類・両生類・植物・・・と絶滅してきた種は数知れずなんですよね。人間の無知が原因だけではありませんが、これ以上絶滅種を増やさないためにも、より一層、野生の鳥の保護活動を応援できればいいなと思いました。投稿ありがとうございます。勉強させていただいております!
部分的に自己理解みたいな面も多いと思いながら書いていますが、この歴史を知ることは大切な事だと思って書いています。ある意味「鳥の黒歴史」であり、知りたくない方もいるかもしれません。でもこの事実を知ることで身近な鳥たちのことを改めて見直していただければ、と思います。