病鳥への投薬と給餌 - うちのケース②

病鳥への投薬と給餌 - うちのケース②

前回①のつづきです。

自由飲水投与(飲み水に粉薬溶かす)への切り替え

飼い主が保定をうまく出来ないがばかりに、口腔内投与(直接口に入れる投薬)が正しく行えず、飲水に溶かす粉薬へ切り替えることにしました。ただしこれにより飲み水がとても苦くなるとのことでした。試しに溶かしたものを舐めてみたところ、、、

ものすごーーーーーーく苦い! 人間の粉薬以上の苦さです。これ、ほんまに飲むんやろか。。。と思いました。

これに限らず飲み水に薬を入れる場合は、きちんと飲んでもらうために、投薬中は青菜や水浴びを控えることは皆さんご存知の通りかと思います。他のところで水分を取ってしまうことなくきちんと薬水を飲むためですが、私は一抹の不安がありました。

うちのコザクラ(モスちゃん)はかなりの頑固者。食べたくないものは絶対に食べない、どんなにお腹が減っていようが食べないものは食べないという強い意志の持ち主です。 果たしてこのとんでもなく苦い飲水を飲んでくれるだろうか。

火曜日の朝、規定の水量に粉薬を混ぜて飲水をケージにセットしました。

早速、水を飲みに来ました。一口入れた瞬間、ブルっと体を震わせて、ペッと吐き出しました。

その日は色々と不安だったので有休を取り、日中はずっとケージが見れるところにいてモスちゃんを観察しましたが、朝、水を吐き出してから、水入れに近づこうともしません。お昼になり、夕方にさしかかっても水を一滴も飲みません。16時ごろ流石に喉が渇いたのか、水入れに近づきましたが、覗いてすぐに去って行きました。喉が渇いているからか、ご飯も口にしませんでした。心配でしたがもう少し様子をみようと耐えました。

18時ごろになり、明らかにしんどそうな素振りを見せるようになりました。ケージの下に降りて目を瞑り少しぐったりしているように見えたので、もう限界だと思い、お水を新しいものに変えました。お薬の入っていない新鮮な水です。

それをケージに入れると、飛ぶようにやってきて一口飲みました。目を瞑り、嬉しそうに一声上げ、その後堰を切ったようにグビグビと飲みました。そうだよね、喉渇いたよね、ごめんねと私は涙が止まりませんでした。

限界まできたら諦めて飲む場合が多いそうですが、うちのコザクラの場合はそうはいかないタイプなのかもと思いました。

私はインスタで鳥専用アカウントを持っていて、嘔吐してから随時状況をアップしていました。たくさんのアドバイスや励ましと声援をいただいていたのですが、その中に、うちのコザクラと同じように頑として薬入りの飲水を口にせず、脱水症状を起こしてしまった子のお話をしてくれた方が何人かいました。同時に、限界が来たら我慢して飲んでくれる子のお話もいただいたのですが、うちの子の性格を考えると、前者のタイプだと判断しました。

(写真)
新鮮なお水を嬉しそうに飲むモスちゃん

小嶋篤史先生の「できる!小鳥の臨床」interzoo, 2020を読んで分かったこと

ここで翻訳させてもらっていることもあり、一般向けの本だけではなく、専門書をもっと読まないといけないなと思っていました。なのでこれを機に、以前より欲しいと思っていた本を手始めに買ってみました。リトルバードの小嶋先生が書かれている鳥の臨床本です。小嶋先生は一般向けにも鳥の医療本を執筆されていますが、こちらはこれから鳥を診ようとしている獣医師さん用に書かれたものです。昨日届きました。

まだ全部読めてないのですが、投薬に関する章の中で、まさに自由飲水投与による脱水症状についての記載がありました。

それによると、セキセイやオカメは飲水拒否による脱水症状はあまり見られないが(ご存知の方も多いと思いますが、この子達は数日は飲水しなくても耐えられる体をしていて、その間に諦めて薬に慣れてくれることが多いそう)、小型フィンチやラブバードは飲水拒否から体調を崩すことがしばしばあるとのことでした。

そこに書かれていた症状はまさにモスちゃんがその日見せたものであり、これを読んで背筋が凍りました。

その日、有休を取ってモスちゃんに張り付いていたのですぐにに異変に気づけましたが、仕事に出ていたら脱水症状に陥っていたと思います(というか既にその手前だった)。

同じことが言える鳥種が他にもいるかもしれませんので、自由飲水投与をするときは鳥専門医さんに脱水症状のリスクがあるかないかを確認されるのが良いと思います。

この本を読む前の話ですが、とにかく、この苦い薬で飲水投与はモスちゃんには向いてないと思った私は口腔内投与に手段を戻すことにしました。ただ保定が上手くできない状態でどうやったら飲ませることができるか。

ここから毎日、この手あの手を使ってなるべくモスちゃんにストレスが掛からない投薬作戦を開始することになりました。

次回へつづく

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コメント

  • コメント ( 2 )

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  1. 「できる!!小鳥の臨床」購入なさったのですね!以前の職場で目にし、獣医師でなくても欲しい本だなと思っていました。やはり、ためになりそうですね。モスちゃんのおかれている状態が的確に判断できて良かった!我が家でも、口腔内投与の練習を兼ねてシリンジでりんごジュースを飲ませることはありますが、一度目は上手くいっても賢いこのコ達に次も、、、は無理かもしれません。幸い、今まで口腔内投与で大変な思いはしていませんが、ものすごく苦いお薬の時の対策を考えておく必要を感じました。

  2. はい!オススメです٩(^‿^)۶ 同じく小嶋先生が執筆された病気百科は万人向けでしたが、こちらは鳥専門医を目指す獣医師の方むけの本なので実践的です。でも獣医師でなくともとても勉強になります。

    海老沢先生にしても小嶋先生にしてもその使命感と熱意が文章に表れていて、そこを読むだけでも鳥飼いとしては目頭が熱くなります。

    うちも今、シリンジに果汁を入れて練習中です(‘∀’*) 日々の練習が大切ってほんとに思いました。

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