lostbiography    忘れないこと 

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大切な命のために忘れてはいけないこと 14

何度か書きましたが 鳥類の絶滅に関しては 環境破壊が多大な影響を与えています。

鳥類は 飛ぶ生物です。
広い距離を飛んで移動し、移動先で繁殖したり 寒さや暑さをしのぐこともあります。
長距離を渡り、決まった環境で子育てをし、捕食する場所や環境を選ぶ種もたくさんいます。
そして 訪れるすべての環境がそろわないと生きていけない生物でもあるのです。

人間は 自身の繁栄のために多くの自然環境を破壊してきました。
そのすべてが絶滅に起因しているとは言い切れないところもありますが 明らかに人による開発行為で 
姿を消した生き物もいます。

ススイロハマヒメドリは アメリカ大陸東海岸マサチューセッツ~テキサス沿岸の湿地帯を中心にに生息していた
鳥でした。
体重28g翼を広げても6cm足らずの小さな鳥で 塩水の湿地帯で昆虫などを主食にしていました。
1940年ごろ この鳥は数千羽の群れを作り、オスのにぎやかなさえずりが朝夕響き渡っていました。
この地域に不通に生息する、見つけやすい鳥でした。

しかし、1950年ごろには数の減少が報じられるようになりました。
原因はケネディ宇宙センターの開発でした。
基地を建設するにあたりこの地に多くの人間が来るようになりました。
ススイロハマヒメドリにとっての第一の問題は 河川の流れが変更されたことでした。
ケープカナベル近郊では 蚊の発生が多く 基地建設に携わる人間にとっては迷惑な存在でした。
それで 川の流れを変えることにより 蚊の撃退を計ったのです。
確かに蚊は減りましたが 同時に流れが変わったことでススイロハマヒメドリの生息地である湿地帯が
干上がってしまいました。
主食である昆虫の減少は 鳥たちが安心して営巣できる場所と捕食環境をを奪っていきました。

1970年代 やっとこの鳥の危機を訴える活動が始まりましたが すでにほとんど見かけない存在になっていました。
1980年、確認のため捕獲されたのは オスのみが6羽、メスの生存は確認できませんでした。
それでも 何とか種を残そうと 別種スコットハマヒメドリの雌との交配が行われ、数羽の雛が産まれましたが、
その子たちは野生に放たれることはありませんでした。
純粋なススイロハマヒメドリではなかったからです。

最後の純粋なススイロハマヒメドリは 1987年 ディズニーワールドの籠の中で孤独な一生を終えました。

人間が宇宙を目指し、宇宙開発の夢を実現するその陰で 小さな鳥たちは永遠に姿を消していったのです。

近隣種である ハイイロハマヒメドリは フロリダ州メリット島のみに生息する固有種でしたが 1987年
絶滅が確認されています。
原因は 人による農地の開墾。
農薬の過剰散布による昆虫の減少とともに 残留農薬による影響が原因とされています。

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