クリッピングについて考える(6)― 飛べる鳥との安全な暮らしPart 1

パム・クラーク著

(定義)
この文章における「飛べる鳥」とは、クリッピングされておらず、自分の意思で屋内を飛んで移動することができる飼い鳥のことを指します。クリッピングされていなくても、何らかの理由で自発的に飛ばない飼い鳥は含みません。また、フリーフライトと呼ばれる、屋外で自由に飛ばしている飼い鳥も該当しません。


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飛べる鳥との暮らしの中で最も注意すべきことが、逃してしまうこと(ロスト)です。

ただし、ロストの危険性はクリッピングしていても同じです。クリッピングの理由としてよく挙げられるのがロスト防止ですが、実際は、クリッピングされている鳥のほうがロストされているのです。そのシナリオをいくつかご紹介します。

第一に、長年クリッピングされている鳥は、自発的に飛ぶことを諦めています。そのため飼い主が、この子は飛べない、または飛ぶことはないと信じ込んで、無防備な状態で外に連れ出すことがあります。または、自分と鳥との間には強い結びつきがあるから、飛んでいくことはないと信じ込んでいます。それは確かにロマンティックな考えですが、驚けば飛んで逃げるのが鳥です。飛行能力がある程度あれば、驚いたことでアドレナリンが放出して、飛ぶ力が湧きます。風のある日なら、あっという間に見えなくなってしまうでしょう。ところが、木から降りたり、元いた場所に戻ったりするほどの飛行能力がないので、外にいる時間が長くなり、捕食される可能性が高まります。驚いたとき、鳥に迷いはありません。恐怖に対する選択肢は、「飛ぶ」ことしかないのです。

第二に、クリッピングを続けている場合、飼い主が風切り羽の形状を把握しておらず、生えてきても気づかないことがあります。風切り羽は他の羽より長く、尾羽の上でクロスしています。カラフルな鳥の場合、他の羽と色も違います。ところが飼い主が換羽で風切り羽が生え換わっていることに気づかず、クリッピングしているからと言って、肩に乗せて外に出てしまうことがあります。

最後に、小鳥の場合、クリッピングされていても飛べることがあります。たとえば、オカメインコや小型のコニュアはクリッピングされていても飛べます。どんな鳥であっても、安全なケージに入れずに屋外に出すことは危険です。フリーフライトの専門家にトレーニングを受けてコントロールできることもありますが、それは極めて稀な例です。

クリッピングしていない鳥をロストする事例は、皆さんが思うほどほど多くはありません。飛べる鳥と暮らした経験がない方は、鳥はいつでも外に飛び立つ機会を狙っていると思うかもしれませんが、そんなことはありません。鳥は馴染みがあるものを好みます。安心で安全なことが分かっている場所を去って、自ら未知の世界へ飛び出すようなことはしません。飛べる鳥をロストする一番の原因は、飼い主を追って外に出てしまうことです。

鳥は本能的に群れについていこうとします。飼い主が部屋を移動するとき、物理的に制限されていない限り、飛んでついてきます。飼い主が家を出るとき、または帰ってきたときに、そこに行こうとするのは自然な行為です。例外もありますが、飛べる鳥のロストの多くはこの行為の延長線上にあります。

このケースに対する危機管理方法はシンプルです。出入口を二重化して、家族みんなに運用ルールを守ってもらいます。ガレージがある家であれば、ガレージ側の出入り口を使うのも一案です。もちろん不便ですが、鳥をロストして捜索することに比べれば良いはずです。または、玄関扉の前にもう一つ扉を設けます。一つ目の扉を出たときに、鳥が付いて来ていないことを確認してから、玄関を開けます。たとえば、玄関から鳥のいる部屋まで廊下がある場合は、廊下にもう一つ扉を取り付けてはどうでしょうか。

いずれも対応できないという場合は、創造力と監視力を鍛えます。私のささやかな家には出入口が2箇所あります。リビングルームに面した玄関扉には鍵を掛け、前に家具を置いて使えないようにしています。家へ出入りは、キッチンの奥にある勝手口を使っています。キッチンは細長い形をしているので、鳥が奥まですぐには飛んでこられません。家を出るときは、勝手口の前で振り向いて、鳥たちの居場所を確認し、遠くの止まり木で大人しくしていれば、サッと外にでます。飼っている犬は、「待て」ができるので、合図をしたらすぐに外にでるようにトレーニングしています(ただし、この方法はあまりお勧めしません。私は一人暮らしで、来客も滅多にないので上手く運用できています)。

ただ、どれほど対策をしても、アクシデントは起こります。鳥の動きを常に予測することはできません。飛べる鳥と暮らすときは、万が一に備えることも必要です。

続きはプレミアム記事でお楽しみください。

Pamela Clark, 2019.5.22執筆
翻訳:小林由香

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