繁殖期の環境エンリッチメント

Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター


ロロ・パークとロロ・パーク財団では、環境エンリッチメントを常に行っており、様々なアイテムを更新し、鳥たちが自然な行動を行える選択肢を与える努力が求められています。

野生では、鳥たちは自分のお決まりの休息場所に印を付けます。実際、野外では、鳥たちの居場所を特定する手がかりの1つは、彼らがお気に入りの止まり木に残した跡です。

このことを考慮すると、鳥たちが好む自然要素のひとつはヤシの葉の茎というのがわかります。それは繊維質で、みずみずしく新鮮です。鳥たちは下嘴を突っ込んでこの植物を砕くことを楽しみます。

現存する鳥類の最大の遺伝子保護区である当パークでは、同じ種に属しているにもかかわらず、個体間の違いは明らかです。 このような性格や態度の違いは、脳の重要な発達の指標となります。

ロロ・パーク財団が飼育する鳥たちは、変化する状況や要素によって絶えず刺激を受けています。これが環境エンリッチメントの主な目的です。そして、多くのペアが繁殖している春の季節は、多くの鳥たちがまだ若く、繁殖に適していないことを心に留めておく必要があります。

また、日が長くなり、食べ物の選択肢が増えることで、代謝の変化も起こります。このため、私たちは彼らに新しいエンリッチメントを与えて、彼らが自然な行動をすべて表現できるようにします。

成鳥も若鳥も、春には特に環境エンリッチメントを豊かで多様にするべきです。

ブリーダーは、抱卵期と繁殖期には鳥小屋内はすべて同じにしておいた方がよいと考える傾向があります。しかし、鳥たちは新しい要素に慣れていれば、それらを積極的に利用するでしょう。

メスが卵を産む前に巣を準備したり、抱卵している間、オスが活発である必要性を考えるべきです。オスは縄張りをつくり、巣に入ったメスのために餌を探します。経験が浅く活力のあるオスの場合、エンリッチメントや餌の取り換え不足は、メスへの過度な支配につながり、メスが巣から出ることを許さなかったり、弱らせたり、危険な嫌がらせをすることもあります。新しい植物があると、鳥たちは行動パターン内で異なる行動をするようになります。

松の枝は、細い緑の葉と実とともに、定期的に提供される新鮮な餌の一部す。そして、春の季節には、鳥たちが他の新しい要素に触れることができるようにすることが重要です。

これはヤシの花序の場合も同様です。一部のヤシは長い枝に花と未熟な果実をつけるものがあり、多くの種にとってお気に入りのエンリッチメントです。ロロ・パークのオセアニア展示では、オーストラリアの鳥がこの種の混植を好む傾向があります。クイーンパーム(Syagrus romanzoffiana)の花序は、すべての鳥類にとって本当に魅力的です。

同様に、多くのヤシの葉の枝は新鮮な繊維の源で、ほとんどの鳥たちが好んでかじります。ロロ・パーク動物大使館では、定期的な剪定によって様々な種類のヤシの葉を大量に確保しています。私たちの鳥たちは明らかにこのことに感謝し、彼らの強力なくちばしと足を鍛えています。

©2024 Rafael Zamora Padrón, M.Pérez – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局

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