ロロパーク財団での大切な命の誕生

Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター

毎年この時期になると、ヨーロッパのほとんどの繁殖センターで繁殖シーズンが終わり、私たちの施設では携わっている種の鳥たちの雛が生まれます。主に地球の南半球を原生息地域とする種類です。これらの種のペア鳥達は8月9月に求愛行動を開始し、産卵もこの頃に始まります。

この時期は春の間に生まれた雛たちの巣立ちの時期と重なり、また同じ親鳥の2回目または3回目の雛たちの成長期にも重なります。皆、ある程度の絶滅の危機にさらされている種に属する1000以上の新しい生命です。これら雛たちの成長のデータの収集はとても重要で、それらの種の絶滅からの救済に関わる戦略的な指針を建てていく要になります。

いつも注目すべき種の一つに、ヤシオウム(Probosciger aterrimus)があります。育雛となるとなかなか難しい種の鳥です。カカトゥーの他の種類は、人工的な孵化や育雛は一般的ではありませんが、こヤシオウムのペアは、卵を産んでも必ずしも抱卵したり雛に給餌して育てるとは限りません。

ヤシオウムの雛とロロパークの園長
マーシャ・ウェインゼッテル氏

たとえば専門的な機器を使っての強制給餌の手順にも調整が必要であり、熟練者の目を通しての継続的な観察が欠かせません。今季は一羽のヤシオウムの雛がベイビーステーションの技術者達に育てられています。その技術者たちは保護施設全体と獣医チームの綿密な監督下で、雛たちが滞りなく満足して成長できるよう最善を尽くしています。専門的なケアを必要とする繊細な種の鳥たちにも対応できるよう、ロロパーク・アニマル・エンバシー の実施規定は常に進化しています。

優れた繁殖成果を遂げているもう一つの種は コスミレコンゴウインコです。

ロロパークで生まれたコスミレコンゴウインコ

ここ数か月で4羽の雛が誕生し、とても順調に成長しています。私たちが直接関わっているブラジル政府による生息域内外での繁殖管理計画の下、2006年に繁殖の為に託された2ペアから、この4羽とすでに35羽が私たちの施設で生まれてます。これらテネリフェ島で生まれた鳥のうち、9羽は原産地の国に送られ、引き続き管理された環境での繁殖プログラムに引き取られました。6羽は、野生に2羽しか残っていないというブラジルの遠隔地に送られ、無事野生に放たれました。そしてつい最近にはパンデミックによる渡航制限にもかかわらず、更にロロパークで生まれた2羽のスミレコンゴウインコを現地に送りました。 最後に送られたこの2羽はメスであり、既に野生に返された群れに加わるために放されました。こうして計17羽はすべて原産地であるブラジルに送られました。  現地の専門家委員会と我々は素晴らしい協力体制を築き、実施計画の主要な活動を統合し、取り組み効果を最大化出来ています。すべては絶滅危惧種の保護にとって頼もしい話です。

©2020 Rafael Zamora Padrón – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局

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