コース2 鳥が幸せに暮らすために
2時間目その2 - 鳥と他の動物を一緒に飼う -なぜ注意が必要なのか
過信が危険を呼ぶ
たくさんの事故例を聞いて、ぞっとされている方もいるかもしれません。また、こんなことは稀なケースで、自分たちの犬や猫は鳥を襲ったりしないと思われる方もいるかもしれません。みんな小さいときから一緒に育ててきた、うちの犬や猫はとても穏やかで虫も殺さない、鳥には強い嘴があるし、いつでも飛んで逃げられる、犬や猫のほうが鳥を怖がっている、などなど鳥と他の動物を一緒に遊ばせても「大丈夫」という理由はいくらでも挙がるかもしれません。でもその考えが「大丈夫ではない」のです。「大丈夫」と言えることは絶対にありません。
ネット上には鳥が猫や犬と仲良く遊んでいる動画がたくさん投稿されています。皆さんも見たことがあると思いますし、危ないと思いつつも、なんて可愛いのだろうと思われていることでしょう。実際どれくらい危険なのでしょうか。今回紹介した数々の話はけして例外ではありません。実際にあることなのです。犬や猫だけでなく他のペット(特にフェレット)は鳥を捕食する生き物です。たとえ飼い慣らされていたとしても、本能は消えません。表立って見えるときもあるし、水面下に隠れているときもありますが、確かにそこにあるのです。普段とてもフレンドリーな犬や猫でも、不意に鼻先を突かれればその本能が思わず出てしまうことがあるかもしれません。そしてそのとき、「ちょっとまて、この子は友達だ。怪我をさせてはいけない」とは思ってくれないでしょう。
犬や猫と戦えば、鳥はほぼ負けます。確かに鳥には嘴がありますが、嘴は常に戦いに備えて持っている武器ではありません。ひとたび犬や猫に襲われたら、鳥にとってはゲームオーバーになりかねません。鳥に対してフレンドリーな犬や猫でも、遊んでいるうちに興奮しすぎたり、思わず上に乗ってしまったりすれば、鳥に怪我を負わせることもあります。攻撃するつもりがなくても怪我につながることがあるのです。
もうひとつ覚えておいて欲しいことは、犬や猫(特に猫)にとってのちょっとしたひと掻きが、鳥にとっては命取りになるということです。犬や猫に噛まれたり、舐められたり、引掻かれたりすると、パスツレラ菌という他の動物にとっては命に関わる菌に感染することがあります。これは鳥だけでなく、人間にとっても怖い菌です。野良猫が鳥や他の動物と「遊んだ」結果、その動物が感染症で亡くなることはよくあります。家猫であっても、舐められた鳥が感染症で亡くなってしまうことはありえる話なのです。
それでもうちの犬や猫は年中鳥と一緒にいるけれど、一度も鳥を傷つけたり病気にしたことはないと思われるかもしれません。まさに最初に紹介したオオキボウシインコの飼い主さんの言葉です。これまでそんなことはなかったという事実は将来もそれが絶対に起こらないと保証するものではありません。テフロン加工されたフライパンをずっと使っているけど鳥には何も問題がないとか、自分が株を買ってから一度も値下がりしたことないとか、うちの犬は今まで逃げたことがないからIDタグをつける必要がないというのと同じです。調理中に電話が掛かってきてフライパンを加熱しすぎたり、その会社の財務責任者の横領が発覚して株が大暴落したり、郵便配達の人が来てドアを開けた途端、犬の気を引くものが外にあって飛び出してしまったり、万が一は絶対に起こらないという保証などないのです。
事故や予測不可能な出来事は万が一から起こります。誰しもが、そんなことになるとは思わなかったと言うのです。鳥と他の動物を一緒に外に出すときはしっかり目を配っている、というだけでは不十分です。犬に羽をもがれて亡くなってしまったオオキボウシインコの事故は飼い主の目の前で起こりました。いざというときの動物の速さに人間が追いつくことはできません。大切な鳥を守ることができる方法は、他のペットと一緒に外に出さない、他のペットがケージに近づけないようにする、これしかありません。友人が屋外のケージ飼っていたオカメインコは、ある日野良猫にケージ越しに襲われ足を引きちぎられました。このオカメインコも安楽死せざるをえない状態でした。
鳥と一緒にいられるように犬や猫をトレーニングできるという人もいます。もちろん犬や猫に、ここには鳥がいて、そして鳥を触ってはいけないよとトレーニングできれば素晴らしいことです。ですが、鳥と一緒に遊べるようにトレーニングすることはできません。犬や猫の大きさは関係ありません。小さなフェレットでも鳥の命を奪うことができます。
正しく予防することで、人間、犬、猫、鳥、他のペットもみな大切な家族の一員として幸せに一緒に暮らせます。大切な小さな命は皆さんの手の中にあるということを忘れないでください。家族全員で安全に暮らしましょう!
2019/5/8 Amy Hopkins寄稿記事
翻訳:小林由香
Lafeber社より当該記事の翻訳及び掲載許可を得て掲載しております。
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コメント
コメント ( 3 )
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今回のお話は、とても考えさせられました。おうちのペットは、どんな飼い主さんにとっても大切な家族の一員ですが、でも、やはり人間ではないということを理解し、境界をひかなければ。人間の勝手な擬人化で「このコは、わかっているはず」は通用しないし、そんな間違った猫可愛がりは「種」を無視し、人間の思考や言語を一方的に押し付ける、失礼な話だと思います。本当に相手のことを思うのなら、その「種」それぞれの特性や本能を尊重してお付き合いしなければ。本当の動物に対するリスペクトは、そこにあると私は思います。我が家のコ達も、どんなに可愛くても鳥は鳥。私たちが考える、最低限のルールはきちんと守ってもらっています。それがお互いが気持ち良く、仲良く暮らせる方法だと思っているので。それは冷たいのではなく、お互いを認め合った上での約束、そして、それを理解し守ることの出来る相手だと信じていることだと思っています。
まあくさん
人間の生活の中にも、まさかこんなこと起こると思わなかったと思うことがたくさんありますもんね。こういうケースだけではなくて、例えば鳥を迷子にしてしまうことも、不慮の事故で亡くしてしまうことも、まさかこんなことが起こるなんてということで発生してしまう事例で溢れている気がします。
「小さな命は皆さんの手の中にある」という言葉の重みを感じました。
yucakyさん、「小さな命は。。。」に共感です。飼い主の愛情に一点の疑いもなく全てを私に預けてくる羽を持ったかわいい我が子たち、その信頼に応えなければ!!同居ペットに危害を加えられてしまう、そういう事もあるのでは?と思っていたところに、この記事を見て、やはり、と思うと同時に改めて様々な危険からこども達を守ってやらなければ、と思いを新たにしました。