Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター
この時期になるとカナリア諸島に夏がやってきます。鳥の中には、気温が上がり始めるこの季節に繁殖期を迎えるものと、終えるものがいます。
ホンセイインコに属する鳥の繁殖期はこの時期に終わりを迎えます。ロロパークでは、この鳥たちの繁殖期が終わったことを、あるサインから知ることができます。繁殖センターに白い羽毛が散らばり出すと換羽が始まったことが分かるのですが、これがサインです。換羽の始まりは、子育てが終了し繁殖休止期に入ることを示すからです。
換羽は数ヶ月続き、体力が落ちて病気にも罹りやすくなるため、この時期の食事管理は特に注意が必要です。まずはカトルボーンなどを新しく補充してカルシウムを補給します。カルシウムの補給によりグリッドも動きも良くなります。食事は新鮮で消化の良いものを与えます。夏の時期、ホンセイインコ属の鳥たちは水に浸した青菜を好んで食べます。
この時期ロロパークがもう一つ大切にしていることは、定期的に水浴びをしてもらうことです。
朝と夕方の早い時間に、いつもより頻繁にケージにシャワーをかけます。これは特にオウムやインコにお勧めです。水浴びをすることで身体をクールダウンでき、換羽中であれば、抜けそうな羽を洗い流したり、ムズムズする感じを緩和することができます。羽を良い状態に保ち、新しい羽が生えやすくもなります。抜け落ちた羽から寄生虫が湧くことがあるため、換羽中はできるだけ毎日ケージを掃除することが大切です。
夏が始まる頃にブリーダーを悩ませるのが害虫です。前回の繁殖から引き続き使われている巣や、落ちた羽が溜まる場所には寄生虫が湧きやすく、また繁殖時に使われるエッグペーストなどのフードにも虫が湧きやすくなります。ケージを清潔に保つことで、防虫剤などの使用を減らすことができます。また寄生虫は血を吸うため、寄生された鳥は体力を奪われやすくなります。それを防ぐためにも衛生面の管理は重要です。鳥は神経質な生き物なので、寄生虫が身体につくことでストレスを感じ、毛引きを始めてしまう場合もあります。
飛行スペースの確保も重要です。若鳥も成鳥も、飛行能力と筋力強化のために飛ばせる必要があります。飛ぶことで新陳代謝が上がり健康を維持することができ、また食べることに興味を持って、好き嫌いせずにバランスの良い食事をとれるようになるのです。
©2020 Rafael Zamora Padrón – Loro Parque Fundación
翻訳:小林由香
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