野生の鳥の保全活動: 私たちにできること、そして私たち自身を助けること Part 1

ローラキム・ジョイナー著


ホンジュラス北東部のラ・モスキティア地方の人里離れた村の上空には、現在も絶滅危惧種に指定されている中南米産のコンゴウインコの亜種が飛来してきます。この虹色の羽をもつ鳥たちを愛し、その保護活動に尽力しているのは、かつて先住民族の村、ラス・ラスのリーダーだったトマス・マンサナレスです。まだこの土地に住んでいた頃のある日、先祖代々の土地に入り込み、不法に樹木やオウム、土地など、勝手に好きなだけ奪っていく悪質な連中にうんざりし、その輩の名前を政府当局に通報しました。政府は何の対策も取りませんでしたが、犯罪者は反撃し、ある朝トマスが毎日入浴する川のほとりで待ち伏せし、彼に向かって4発の銃弾を浴びせたのです。彼は一命をとりとめましたが、村の仲間たちは、次は自分たちが狙われると恐れその土地から去りました。今回、トマスは撃たれてからわずか5か月後、まだ傷は治りきっていないのに、私や他の人たちと一緒に村に戻り、その地域のコンゴウインコの生息調査に同行してくれました。その際、私たち部外者だけでなくトマスと彼の人々の安全を守るためにも、兵士の分隊を雇いました。

ある朝、川辺でトマスが銃弾による傷跡を見せてくれました。「トマス、なぜ命を危険にさらしてまで、この保護活動を助けてくれるのですか」と私は問いました。「ドクトラ」と彼は答えました。「すべてが危険にさらされているから、私のすべてを危険にさらす覚悟なのです。鳥たちが助からなければ、私の人々も助からないのです。」

トマスが苦い思いをして得た知恵が語った、深い癒しを確かにする言葉でした。この言葉は、多くの中米諸国で取り組んでいる鳥の保全活動で私を支え、勇気づけくれています。私たちは同じ 1つの地球に住み、すべての種と個の幸福は相互依存していて、全体の一部として絡み合っているのです。ひとつがうまくいかなければ、他の全てもうまくかないと。この理論が、抱える重荷を軽減し励ましになっています。誰かを助ける事は、私たち人類を含む多くを助けることになると。この地球上の生命を守るために何かをする限り、それは私たち全員を助けることになるのです。

具体的には、近くても遠く離れていても鳥を愛し保護することは、鳥全体を助けることになり、しいては私たち人類も助けることになります。主に次の 3つのアプローチがあります。

野生の鳥の生態を知ると、野生の鳥の保護に役立つ
野生の鳥を知り保護する事は、コンパニオンバードの保護に役立つ
野生の鳥を知り保護する事は、 私たち自身を大事にすることに役立つ

野生の鳥の生態を知ると、野鳥の保護に役立つ

野生の鳥について知れば知るほど、生活の質を向上させる為に適切な調査項目や計画を設定し、運営上の判断を下すことができます。たとえば、野生の鳥のさまざまな食糧の種類を知れば、生息地の質とその環境の収容力を見極めるのに役立ち、ひいては森林再生や、密猟から救出された野生の鳥たちの放鳥に適した場所など、保護活動に適した地域の特定に役立ちます。この知識は、現場で直接関わっているメンバーだけでなく、他分野に精通して強力な相乗作用を生み出す保全チームメンバーにとっても重要です。メンバー達は地球の裏側にいても、SNSやウェブサイトの管理、広報、教育、啓発キャンペーンの実施など、経験やスキル、資金で貢献しています。たとえば、ラフィーバー保護プロジェクトでは、自由に飛ぶオウムを実際に目にしたことがない人たちが、ウェブサイトやメディアデザインの作成、ネットワーク作りや、財政的な支援などを行っています。また自身で鳥を飼っている人々も、鳥と深く親密な関係を築いているため、野生の鳥の保護にとって非常に貴重な存在です。彼らの関心は鳥を飼った事のない人とは違う特別な絆で力があり、世界のどこからでも保護を支援するという意思と愛護の力を持っています。

野生の鳥を知り保護する事は、コンパニオンバードの保護に役立つ

アメリカ獣医学協会(AVMA) は、2013年11月、動物福祉セスメントの方法の理解を深めてもらうためのウェルフェア会議を開催しました。各アセスメントにはボディ、マインド、性格、という3の要素で構成され、個々の動物は、苦しんでいる状態から、なんとか対処できている状態、そして目標である活き活きとした状態、というスケールで評価されます。ボディとは、栄養、安全、温度管理など生理学的ニーズです。マインドとは動物が経験し、考え、感じている事(恐怖、ストレス、喜びなど)を意味します。性格は、その種にとっての「正常な」行動である飛行や生殖能力を意味します。鳥の飛行能力のように、カテゴリー共通の要素を持つこともあります。飛べるということは、鳥のボディ(心臓の健康状態や体重など)、マインド(ストレスを回避し、飛ぶことを楽しむ能力など)に影響します。そして性格の要素では、ニッチによる進化でコンゴウインコの様に1日に何十マイルの長距離を飛ぶ、などが挙げられます。

これらのカテゴリー分析を活用し、生息地にいる野生の鳥から多くを学び、コンパニオンバードのお世話に活かすことが可能です。野生の鳥を知ることは、鳥の異常な行動や病気などのウェルフェアが乏しい状態を認識するのに役立ちます。たとえば、野生のオウムの食事について学べば学ぶほど、飼っているオウムにより適切な栄養を提供できるようになります。コンゴウインコなどの一部のオウムの種は、50 種類以上の植物を食べると研究結果があります。野性の食生活にできる限り近いものを提供することが目標ですが、野生ではない食材を使ってそれを可能にする方法には、まだ十分な研究がありません。また野生の鳥からは成長、生殖、営巣、居住および飛行範囲、交際、そして好む刺激などに対する鳥のニーズに関するヒントを得る事もできます。

野生のオウムがどのようにヒナを育てるかの研究で、ヒナの発育と生存には親鳥が重要な役割を担っており、それはオウムのように長寿で社交的な鳥に顕著だと判明しました。親鳥の行動は、ヒナの学習、行動、発声、飛行パターン、採餌のテクニックと場所、そして将来の繁殖に影響します。これは若いオウムを親や同じ種の成鳥と一緒に育てることの重要性が明らかです。多くのオウムは、採餌地域の質を推測するために群れの 情報を頼りにしています。では、適切な餌を摂取する能力に、行動を共にする群れ鳥の数がどう影響するのでしょうか?

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野生の鳥の保全活動: 私たちにできること、そして私たち自身を助けること Part 2へ続く

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