コース12 鳥の病院について考えよう①


犬や猫をお迎えしたら、すぐに予防注射や健康診断のために、病院に行く人は多いはずです。ところが、鳥をお迎えして、すぐに病院に行く人は何人いるでしょうか。鳥が体調を崩してから、ペットショップで市販の薬がないか探す人も少なくありません。ショップで売られている、一回分ずつ分封された抗生物質は(訳注:アメリカの状況です)、鳥には量が多すぎて、良い菌まで殺してしまいます。そもそも鳥が調子崩したときに、薬を探す時間などありません。

「ケージの下でうずくまっているので、病院に連れて行ったのに、死んでしまった」という話を聞いたとき、私が一番に思うのは、どの病院に連れて行っただろうということです。獣医師であれば、誰もが鳥の知識を持っていると考えるなら、それは間違いです。アメリカの4年制獣医学校の標準カリキュラムには、鳥類のプログラムが含まれていません。学校によっては、導入部だけ取り入れたり、実践授業をしたりするかもしれませんが、私がテネシー大学でよく生徒に伝えていたのは、「中途半端な知識ほど怖いものはない」でした。

学校では、鳥類に関して基本的なことしか教えることができません。卒業後、怪我などの救急治療に対処することはできても、様々な病気の診断や治療を行う技量は習得できていません。鳥を診るためには、まず、優秀な鳥専門医の元で研修医として2~3年勉強し、さらに1年、インターンシップのトレーニングが必要です。アメリカでは、鳥類の医療に4年以上従事して、論文を複数提出、さらに2日間に渡る難易度の高い試験にパスして、初めて鳥専門医として認定されます。ここに至るには、多くの経験と鳥類臨床への貢献が必要です。また、認定を受けてからも学ぶことが山積みです。ボウシインコやコンゴウインコの臨床に精通していても、ワライカワセミやハチドリに関する知識はまだまだ足りないといった具合です。

1. 信頼できる獣医師とは?

獣医学部などを卒業して獣医師免許を取得すれば、鳥類に対する知識や技量が不十分でも、鳥「も」診ることができると言うことはできます。そこから鳥類を診る技術と知識を積んでいくかもしれませんが、卒業したての頃はまだ未熟です。獣医師であることの次に、我々飼い主が見るべき点は、鳥類獣医師会のような団体に所属しているかどうかです(アメリカはAAV、日本であれば鳥類臨床研究会)。 もちろん獣医師免許を取得した先生には、鳥類の臨床や診療技術を習得するための潜在能力が備わっています。大切なのは、「鳥類臨床に関する最近の会議に出席しているか」 「過去にどれくらい会議に出席しているか」です。たとえば、AAVの会議では、毎年最新の情報を提供していますが、出席しなければ情報を得ることはできません。

さらに、鳥類に限定した診療を行っている獣医師であれば、豊富な経験もあります。また、認定を受けた獣医師であれば、更新のために学会に出席して、継続的な学習コースを受講しています。鳥類を診る技術習得のためには、獣医師免許取得後にも多くの時間と労力が必要になるため、本来は、犬や猫よりも診察料が高くなるのです。

2. 飼い主が注意すべきこととは?

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(2014/2/6 Susan Orosz, PhD, DVM, Dipl ABVP (Avian), Dipl ECZM (Avian) 寄稿記事)
翻訳:小林由香

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