いつもありがとうございます。鳥爺です。
カワダさんは私の質問には答えず
「見せたいものがある」
と言って、セカンドバックの中から何かを探し始めました。
そういえば先週屋上で、見せたいものがある、と言ったことを思い出しました。
そして、カバンから2つの細長い冊子のようなもを取り出し、私の目の前に突き付けてきました。
「何ですか? それは?」
「見たまんまだよ」とカワダさん。
カワダさんが私に見せてくれたのは、小切手帳と手形帳でした。
しかも1枚という単位ではありません。それぞれ一冊ずつです。
嫌な予感がしました。
2冊ともほとんど未使用品です。
金額も日付も書いてありません。
ただ、代表者印は全ページに押印されています。
「俺がここに好きな金額を書いたらどうする?」
と、カワダさんが小切手と手形を指差しました。
すでに銀行取引停止処分を受けていたので、小切手や手形が有効なのかどうかわかりません。
「何とか言えよ」
私が何も答えられなくて黙っていたので、痺れを切らしたようです。
ここは喫茶店です。
ここでまさか大声で怒鳴ったり、暴力を振るったりはしないと思います。
「あれ」を言うなら今しかない。しかし「あれ」を言ったらどうなるかわかりません。でも、「あれ」を言うしかありません。
「一体いくら借りているんですか? その根拠がなければ警察に相談しますよ」と。
言ってしまいました。心臓バクバクです(汗)。(「あれ」とは警察のことです)
さて、どんな反応をされるのかと思いましたら、小さなドスの効いた声で、
「そんなことは想定済みだ」
とビクリともしませんでした(汗)。
それよりも
「おまえの家族のこと、会社のこと、全部調べているぞ」
と言われました。
そして私の家族や会社のことを詳しく話してくれました。すごいですね。よく調べている。感心している場合ではありませんが、、、(苦笑)。
でもこれはあきらかに脅しです。録音機を持っていれば、と後悔しました。そうなったらしかたがありません。私も言ったついでです。かなり自棄っぱちになっていました。
「窮鼠猫を嚙む、って知っていますか? もし、家族や会社に手を出したら、自分も何するかわからないですよ」
本気でカワダさんと刺し違える気持ちでした。
後先のことを考えずに、勢いでよくこんなこと言えた、と自分でも思いました。
カワダさんは私を睨みつけていますが、私は睨み返せないので、カワダさんの手ばかりを見ていました。カワダさんの手は「グー」になっていました。
しばらく沈黙が続きました。
ほんの数分かもしれませんが、私には1時間以上の膠着状態だったような気がしました。
またまたカワダさんのほうが痺れを切らし、
「借用書を見せてやるよ」
とカバンの中から1枚の紙を取り出して見せてくれました。
この紙が借用書がでした。こんな紙切れ一枚で、これからの人生が大きく変わるとは、、、!?
(つづく)
コメント
コメント ( 2 )
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小切手帳と手形帳?
二つの違いがわからず・・その重要性が分かっておりませんが(汗)未使用で押印されているっていうことは相当ヤバいですよね?
恐怖に震えながら珈琲をぶっかけてみるとか・・・
乾かせば使えるんですか?
(その前に命が危ないですね)
この状況で
「窮鼠猫を嚙む・・」
って言える鳥爺が凄い。
家族を持ち出されると、ドラマの様に強くなれるんですね。
借用書・・・・見たくありません。
小切手は金融機関で現金のように使えるもので、手形は約束の期日がくると現金化できるものです。約束より早く現金化したいときは「割引」といって、金融機関に手数料(利息?)を支払えば大丈夫です。
なので、この2つの手帳に任意の金額を書くことができます。
悪用されたらたいへんなことなりますが、これが「人質」になっていたのです。
続きは次の土曜日です。よろしくお願いします。