太陽と鳥の健康

Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター

鳥の強い味方といえば、太陽です。太陽の光を浴びることで、体温を上昇させ、ビタミンを合成し、皮膚や羽をきれいにすることができ、さらに、水浴びをして素早く乾かすこともできます。

太陽光と鳥の健康

ロロ・パーク財団では、太陽の力を借りています。ここの緯度では、雲がなければ5月から強烈な日差しが降り注ぎます。これは、全身の新陳代謝を大きく活性化させるのに有利な条件です。

日差しに刺激されるロロパークのヨウム(©R.Zamora/LPF)

しかし、日陰は常に用意しておくべきです。鳥たちは1日に何度も日陰を利用します。特に、お昼寝の時、昼時、日暮れ前。

太陽の光を浴びることと鳥の健康は直接関係しています。最も健康な鳥は、羽毛を良い状態で保つことができる鳥です。実は、鳥は日光浴が大好きです。日光浴中、太陽の光が肌に届くように翼を広げて羽を伸ばします。親鳥や他の鳥がそうしているのを見たことのない幼鳥でも、太陽の光が直接体に当たる暖かさに気づくと、本能的に日光浴をするようになります。

日光浴から得られるもの

日光浴中のナナイロメキシコインコ(©M.Pérez/LPF)

日光浴で新陳代謝が活発に

鳥が日光浴で得るものは非常に広範囲にわたります。体温を上げることで新陳代謝が活発になります。ほとんどが温暖な地域の種のため、彼らの自然環境では当たり前のことです。

紫外線のおかげで骨の状態を保つことができますし、日当たりの良い環境ではカルシウムの代謝が大幅に改善されるので、卵の形成にも役に立ちます。

メスの卵詰まりを避ける

もう一つの大きな利点は、メスの卵詰まりを避けることができるということです。これは残念ながら、太陽の光を浴びることができない寒い地域に生息する鳥によく見られる現象です。

温度が重要なだけでなく、卵が正しく形成されるかどうかもこの要素に左右されます。殻が軟らかいと排卵が非常に困難になり、死に至ることもあります。効果的な体温調整の維持にはコストがかかるため、よりデリケートな種である小型鳥の場合は、特別な方法を考慮しなければなりません。

太陽は環境エンリッチメント

太陽は、管理された環境にいる鳥たちの環境エンリッチメントの一部です。免疫系や鳥の気持ち全般を刺激するために必要な要素です。更には、ホルモン系、ビタミンの合成と吸収に影響を与えます。実際、動きたいという欲求が高まるので、食欲も増します。

水浴びの効果

また、水浴びをするようになるという効果もあります。水浴びは、さまざまな種のすべての鳥にとって、必ずしも喜ばしいことではありません。先に述べたように、鳥たちは本能的に羽を広げて皮膚に直接太陽熱を当てようとします。羽がすべて濡れることによる体温低下から回復するのに必要なエネルギーを失うことなく、すぐに乾かすことができるのであれば喜んで水浴びをするでしょう。

水浴びのひと時を楽しむケア(©M.Kortmann/LPF)

水浴びを促すことで、同じ飼育環境にいる仲の良い鳥たちが、お互いに毛繕いをするようになり、羽のセルフケア効果が生まれます。太陽の光を浴びる鳥が、明るく魅力的で、羽が体に密着しているように見えるのはこの効果によるものです。

注意事項

日光を浴びられるようにすることも必要ですが、日陰は必ず必要です。広い場所で日差しを遮るだけでなく、高温から鳥たちを守らなければいけません。

餌や水は常に日陰に置き、太陽の光が直接当たらないようにしてください。多くのビタミンが太陽熱で数分で破壊されてしまうことを考慮する必要があります。

巣も長時間の熱から守らなければいけません。毎日の太陽に当たる時間が長すぎると、卵の脱水症状に影響を与えたり、最適な日程よりも早く孵化してしまうことがあります。

日焼けしすぎると、羽の色や質が変わってしまうことがあります。特に、湿度の高い熱帯地方の種ではそうです。日光が多く、乾燥した環境で飼育していると、すぐに羽の問題が出てきます。

©2021 Rafael Zamora Padrón – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局

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