(12)やっぱりたいへんな状況!?

いつもありがとうございます。鳥爺です。

気がついたらディスコの前に車を停めていました。車から外に出ておもむろに時計を見ると14時過ぎ。ディスコの開店は19時からなので、店は閉まっているはずなのに、玄関が開いていました。

こんな時間に誰がいるのだろう!?

お店は地下なので階段を下りていくと、音楽が聞こえてきました。大音量ではなく、テンポも緩やかな曲です。照明も明るくしてあるので、営業時間と違って心地よい空間でした。ダンスフロアで一人の若者がモップ掛けをしている最中でした。

その若者は私に気づくと「どうしたんですか?」とびっくりしていました。

「いや、信金さんに急に呼び出されて、、、。」

と答えると、

「そうですか」と言って、モップ掛けを続けました。モップ掛けをしていた若者はDJの大久保(仮)くんです。彼はDJと照明を担当していましたので、ほとんど話をしたことがありません。

 ただ、常連客のキミコとカオルの話によると、女性客のほとんどは大久保くん目当てで、来店していると聞きました。

 当時どこのディスコも「黒服」が人気でした。残念ながらDJが人気が出るのはもっと後です。

ただ大久保くんの場合はDJだからというより、彼がとびっきりのイケメンだったからだと思います。羨ましい(苦笑)。

「いつも大久保くんが一人で掃除をしているのですか?」

と聞くと、答えがありませんでした。

答えがない、、、たぶんそれが答えのようです。

 先日、常連客のキミコとカオルが言っていた「毎日、こうよ」を思い出しました。

営業が終わっても誰も掃除はしません。そのため翌日、大久保くんが早く出てきて掃除をしていたようです。

「手伝うよ」

と言いましたが、「ちょうど終わりです」と言われ、私の出番はありませんでした。

 しばらく様子を見ていると、次に厨房に入り食事の仕込みを始めました。

「仕込みもやるの?」

と聞くと、

「はい」とそっけなく返事されました。

ここでも「手伝うおうか?」というと、

「いえ、一人でできますから」と、またまた出番がありませんでした(苦笑)。

もしかしたら私は嫌われているのかもしれません。

そりゃあ、そうですね。ディスコを続けるために東京からやってきたかと思えば、今度は閉める(廃業する)ことに舵をきったのです。信頼されていないのは当然だと思います。

でも私は大久保くんを見て、とても信頼できる人間だと思いました。

なぜなら誰も見ていないところで、誰にも評価されないのに、たった一人で黙々と働いていたからです。

後で彼の給与明細を見ましたが、他のスタッフとほとんど変わりありません。

ディスコは失うかもしれませんが、大久保くんのような有望な人材は失いたくない、と思いました。

 後に彼の存在がディスコはもちろんのこと、CAP!やロムテックを大きく前進する力になるとは、このときは夢にも思っていませんでした。

さて、今日はすることもないし、このまま開店からラストまで頑張って居座ることにしました。何も遠慮することはありません。潰れそうな店の代表になった訳ですし(苦笑)。

 大音量や照明チカチカは辛いですが、もっと大久保くんの働きぶりを見たいと思ったからです。

しかし、営業の最初から最後までを通してみて、やっぱりたいへんな状況だと確信しました。

(つづく)

今日も素敵な週末になりますように(^o^)/

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