Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター
ロロパーク財団でオウム達が新しい行動をすれば、私たちはすぐに気づきます。それぞれの鳥が個々の生体リズムを持っているので、すべての鳥種、すべての鳥が一様ではありません。しかし最大のオウム種の保護地を誇る私たちの鳥舎では、誰もが感じる変化が始まると、舎内の環境に変化が見られ始めます。それはこの数か月間で、多くの白色カカトゥが朝に鳴き、頭や首を動かしてパフォーマンスを始める時期なのです。
冠羽を広げ「ここにいるよ!」と言わんばかりです。夜明け、そして夕暮れの彼らの鳴き声のコーラスも繁殖期が近づいていることを告げています。
休息の時期を終え、鳥たちのメタボリズムは彼らの行動や性格を変化させます。単に鳥たちの振り付けと歌唱力が向上するだけでなく、嘴を激しく使って鍛えたり、朝の飛行でウォーミングアップの如く筋肉を鍛え、体の動きを機敏にして、周りの模範を示そうとする他の鳥たちに、自分がどれだけこの数か月間健やかであるだろうかを見せつけるのです。
同じような変化は飼育下の鳥にも起こります。日照時間が長くなり、屋外の木や天候の変化にも気づきます。人間がこの変化に気づき反応するように、鳥たちも変化を見過ごさないのです。繁殖センター内であっても、飼い鳥であっても、この時期に起きうる変化を予見し配慮することが一番重要になります。
全ての動物たちがエネルギーを要する年に一度のこの大切な時期を、先取してケアしてあげてください。鳥たちは嘴を慌ただしく使い、木や枝をかじったり、硬い殻に包まれた木の実などをつついて遊んだりするでしょう。
成長した鳥達、とくにオスには新鮮な木のおもちゃを与えてください。新しい木の皮の感触につられて嘴で穴を開けたり、バラバラにしたり、夢中になって一日の何時間も作業してる事でしょう。自然界では多くの鳥類がそれぞれ好む木の枝を齧り、枝先が短くなっているのを観察することができます。これは自然界の剪定で、木がダメージを受るわけではなく、「剪定」された枝は他の種類の鳥たちの止まり木となります。飼育係は、鳥舎に生きた木を植えることが好きです。なぜなら多くの鳥が他の場所で食した果実や種が糞に混じってその木の周りに落ち土の養分となり、長期にわたって素晴らしく機能する相互関係があるからです。ロロパーク財団内のカタンドラ・ツリートップの巨大な鳥舎では、施設開設時から木が休まる暇もなく鳥たちに齧られていますが、植物はあふれんばかりに生い茂っています。この素晴らしい生態系のバランスに支えられ、幾年にも渡って舎内の木々は大きく成長したのです。
この同じ場所に、オーストラレーシア原産の鳥たちも収容されており、彼らの面白い行動を観察することができました。同じ椰子の木に三つ以上の出入り口を持った巣ができていたのです。 他の鳥たちに卵や巣材を取られてしまうかもしれない競争の激しい環境で繁殖する上での工夫のいい例で、私たちが鳥たちとの関りで日々学んでいる発見です。若い鳥には必要以上の木材を与えなくてもいいと感じるかもしれませんが、それは間違いで、将来のための訓練とスキルを伸ばす為に必要なのです。 鳥舎内の鳥たちの争いを防ぎ環境の充実化の為にも、新鮮な枝や幹の切り端を与え、鳥たちの活動を促進させてあげてください。
©2021 Rafael Zamora Padrón – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局
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