コース14 鳥の病気:1時間目 適正体重を把握していますか?

スーザン・オロズ著


最近、服がキツくなった……体重も増え始めた……そんなとき、我々は食生活の見直しや運動を始めようと考えるかもしれません。では皆さんの鳥はどうでしょう? 飼い鳥も人間と同じく、食べ物やその量、運動量によって体重が増減します。愛鳥の健康状態について、皆さんはどれくらい把握していますか?

体重はどうでしょう。標準的、それとも肥満気味? この一年以内に病院で健康診断を受けましたか? 餌は何をあげていますか? 定期的に運動させていますか? 鳥の健康を考えるためのヒントをいくつかご紹介します。

鳥は自分で栄養管理できない

野生の鳥は、栄養バランスに注意しながら餌を食べているわけではありません。必要なエネルギー、アミノ酸、カルシウムのバランスは取れているようですが、その他の栄養素については不足するものもあります。飼い鳥も自らバランスの取れた餌を選んでいるわけではありません。ドウェイン・ウルレイ博士が行った研究によると、ヨウムに自由に好きな餌を選ばせた結果、ビタミン、ミネラル、そしてタンパク質の構成要素であるアミノ酸など、合計12種類の栄養素が不足していました。つまり、食事にアミノ酸が不足していると、必要な量を得るために全体的に食べ過ぎて太ってしまう恐れがあります。また、そもそも与えられた食事にアミノ酸が不足していれば、どれだけ食べても必要量を摂取することができません。シードだけを与えられているセキセイインコ(パラキート)に特に問題が現れます。

鳥の体重を把握する

標準か、太っているか、それとも痩せているかはどう判断すればいいでしょうか? 獣医師は通常、竜骨突起(キール)とその両サイドについている胸筋を触診してボディーコンディションスコア(体型の状態)を判定します。鳥の健康状態を知るには、竜骨突起とその周りの筋肉量を触って確認することが大切です。

飛ぶときは翼を力強く押し下げる必要があるため、鳥の胸筋はとても発達しています。胸筋はよく使われるため、比較的引き締まっていて、竜骨突起とほぼ同じ高さにあります。病気のときなど、摂取するエネルギーよりも代謝が高くなると、胸筋を消費してエネルギー源に変えます。これが起こると、胸筋の筋肉量が減り、竜骨突起が目立つようになります。逆に肥満になると胸筋の上に脂肪が付き、竜骨突起を触診した時に脂肪に触れる感覚があります。竜骨突起の上まで脂肪が付くと、肝臓にも脂肪が蓄積していることが多く、健康状態が悪化している可能性があります。病気により代謝が高まり、筋肉がどんどん消費されている状態です。

竜骨突起付近の筋肉量が少しでも減っていると感じたら、すぐに鳥獣医師に診てもらいましょう。また太っている場合も、病気が隠れている可能性があるので診てもらってください。コレステロールが溜まると、心臓の血管や重要臓器に栄養を送る大切な血管にプラークができることがあります。

適切な食事とは

今年は鳥にダイエットさせようと決意した方は、まず栄養のバランスの取れた食事の大切さを認識しましょう。アミノ酸は脂溶性ビタミンとミネラルとバランス良く摂取する必要があります。そのための一番の方法はペレットを主食にすることです。ラフィーバであれば、ペレットベリーやニュートリベリー、アビケーキがお勧めです。遺伝子組み換えでないペレットを主食にして、糖質が少ない野菜や緑黄色野菜を補助的に与えましょう。

豆類やトウモロコシ、果物は糖質を多く含むので、量を控えます。サツマイモやスイスチャード、ビートの葉、ケール、パセリ、カボチャ、えんどう豆、クルミ、マンゴを与えてみましょう。他にも食べられる物はたくさんありますが、まずはこれから始めてください。ダイエット時は量を減らすことも大切です。ベレットのパッケージラベルを見て、適切な量を確認してください。

体重の記録をつける

自分がダイエットをしているとき、定期的に体重を測りますよね。同じように、鳥の体重も管理しましょう。キッチンスケールを使って、毎日、朝ごはんをあげる前に測り、記録して管理します。鳥の健康管理がうまくできているかを知る一番の方法です。

運動も大切

ダイエットでもう一つ大切なのが運動です。筋肉量が保てていたとしても、運動不足は問題です。ユタ大学のスコット・エコールズ博士によると、運動不足の鳥は骨の量が大幅に下がります。すると、骨が柔らかくなり骨折しやすくなることもあります。実際に飛んで運動することができない場合も、骨の量を維持するために、少なくとも毎日羽ばたく運動をさせましょう。有酸素運動も心臓の健康維持には大切です。ただし、本格的な運動を開始する前に、まず健康診断を病院で受けましょう。

鳥のQOLをさらに良くするという新年の抱負を実現するヒントになりましたか? 達成できるように頑張りましょう!

2015/1/17 Susan Orosz, PhD, DVM, DiplABVP (Avian), Dipl ECZM (Avian) 寄稿記事
翻訳:小林由香

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