
当記事は、第8回WING YOUセミナー『鳥の健康を守る最前線!世界的名医ステファニー・ラム先生が伝授する、愛鳥のための秘訣』にて講師を務めていただく、ステファニー・ラム獣医師から提供された情報です。記事では、見逃されがちなビタミンA欠乏症の症状とケアのヒントが紹介されていますが、これをきっかけに、鳥の不調に早く気づける目を持つことの大切さを感じていただけたらと思います。セミナーでしか聞けない情報もありますので、ぜひご参加ください。
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ビタミンAは、皮膚の健康を保つうえで非常に重要なビタミンです。ビタミンAが不足すると、皮膚の柔軟性が失われ、乾燥してフケのようになります。くちばしや爪が異常に早く伸びて変形し始めることがあります。皮膚そのものがかゆくなり、鳥が羽をむしることもあります。羽の色が異常になることがあり、たとえば濃い緑色のボウシインコが薄い黄緑色に見えたり、白や黄色の筋が羽の中に現れることがあります。羽はもろく、簡単に折れてしまいます。尾羽が折れてボロボロになるのは、ビタミンA欠乏のある鳥ではよく見られます。

ビタミンA不足になると
ビタミンAは他の臓器系統にも必要です。ビタミンAが不足すると、鼻や口の粘膜が乾燥します。口の中に粘り気のある分泌物が溜まり、後鼻孔の周囲にある濾過機能を持つ突起(乳頭)は鈍くなり、丸みを帯びてしまいます。鼻からは粘っこい、またはかさぶた状の分泌物が出るようになります。メスの鳥では繁殖に問題が起きることが多く、卵詰まりなどの背景にはビタミンAの欠乏が関係している場合があります。腎臓の機能も低下し、ビタミンAが不足した食事を続けていると腎不全に陥ることもあります。
健康な鳥を育てるために大切なこと
健康な鳥を育てるために最も大切なことは、ペレット、健康的な種子やナッツ、果物、野菜、穀物などを含むバランスの取れた多様な食事を与えることです。これにより、ビタミンAをはじめとするすべての栄養素が十分に摂取できます。もし、乾燥した皮膚、フケのような皮膚、過剰に伸びたフレーク状のくちばしや爪、異常に明るい色やもろい羽、鼻のかさぶたなどの異常が見られたら、経験豊富な鳥類専門の獣医師に診てもらいましょう。中には、ビタミンAの補給と食事の改善により、劇的に早く改善する鳥もいます。

※アリゾナ・エキゾチック・バード・レスキューから来たヨウムは、ビタミンAの補給と食事の改善に素早く反応し、健康を取り戻しました。
<ビタミンA欠乏症に関する問題・症状・解決法まとめ>
■ 問題(原因)
- ビタミンAが不足した食事(特にシード中心の偏った食事)
- 健康的なペレットや新鮮な野菜・果物を十分に与えていない
- 長期的な栄養バランスの崩れ
■ 見られる主な症状
〈皮膚・羽・外見の変化〉
- 皮膚が乾燥し、フケのようになる
- くちばしや爪が異常に早く伸び、変形する
- 羽をむしる(かゆみ)
- 羽の色が薄くなる、白や黄色の筋が入る
- 羽がもろく、すぐに折れる(特に尾羽)
〈呼吸器・口の中〉
- 鼻や口の粘膜が乾燥
- 口内にネバネバした分泌物がたまる
- 後鼻孔の周囲の乳頭が鈍くなり丸くなる
- 鼻に粘ついたりかさぶた状の分泌物が出る
〈内臓機能・繁殖〉
- メスの繁殖異常(卵詰まりなど)
- 腎機能の低下 → 長期で腎不全に陥ることも
■ 解決法
- ペレット中心+多様な食材でバランスのとれた食事を与える(例:ペレット、健康的な種子・ナッツ、野菜、果物、穀物)
- ビタミンAを多く含む食材(ニンジン、カボチャ、ほうれん草など)を積極的に取り入れる
- 体に異常が見られたら、鳥類専門の獣医師に相談
- 状態に応じて、ビタミンAの補給や食事改善で劇的な回復が見込めることも
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