抱卵と孵化の時期

Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団サイエンティフィック・ダイレクター

鳥の飼育において、巣箱を開けて、シーズン最初の卵を見つけた時に、すべてのブリーダーの心臓が速く鼓動します。不確定要素に満ちた想像（うまく孵るだろうか？母鳥の邪魔をしていないだろうか？もっと卵を産むだろうか？卵を割ってしまわないか？いつまた巣の中を見ることができるのだろうか？）などなど、毎年繰り返される疑問は尽きません。卵ひとつひとつに命が宿っているので、どの卵も忘れることなく、細やかな世話をしなければならない時期であることは間違いありません。

巣を確認した際、卵が割れていなかったり汚くなければ触らないのが一番。©M.Pérez/ LPF

ペアまたは鳥小屋を共有している鳥のグループ内で産卵するとは限りません。時には、床の上や餌入れの中で卵が見つかることもあります。鳥たちの準備が整っている時、良い世話をすれば自然と卵を産みます。ペアが縄張りや特定の巣を守っているわけでもない状況で、予期せぬ卵が出てきた場合、人工孵化は、選択肢の一つです。しかし、より重要なのは、ペアが快適に感じる場所を用意すること、自由に使える良い巣を与え、その時に適した世話をするプロセスを違和感なく続けることです。

ロロ・パーク財団では、ペアの準備や産卵前の手順を先見的に行うことで、それぞれのペアが産卵に備えて消毒された快適な巣を持つことができます。このような事前準備を行っても、ペアが期待通りの時期に繁殖しないことがあります。メスが不信感を抱いていたり、単に相手と仲が悪かったりして、巣を拒否するものもいます。そのため、必要ならば変化をもたらす準備をしなければいけません。

選ばれた場所でペアが快適に安心して過ごせるようにすること、そして、成熟度や必要な栄養面で準備することです。これが、良い環境と良い餌のみが結果を出すと信じている経験の少ない「基本的な飼育者」と、新しい選択肢を与えて鳥ごとに必要なものを理解しようと日々努力している「上級者」の進化のポイントです。

以上のように、この段階では、観察することと鳥たちの平穏が最も重要なツールです。

鳥の中には、巣の周辺で警報音が鳴るのを嫌がる種も多くいます。安心して巣箱を出るために、飼育員や他の鳥も見たがらないほどです。そのため、不透明なシートや何らかの遮蔽物を置いて、視野に入らないようにすることが望ましいです。また、巣の入り口が鳥小屋の前方ではなく、側面に向くように巣を回転させるのも有効です。小さなことですが、それぞれの鳥にとって大きな違いになります。

ペアに安心と平穏を与えるのが、この時間帯の日常業務です。栄養補助食品、良質の餌と水、そして衛生管理は、鳥たちが期待する特定の時間帯に与えなくてはいけません。そうすることで、卵が割れたり、小さな雛が巣から出たりすることはありません。

卵の孵化がうまくいくか、うまくいかないかは、それぞれのケースによって異なります。親鳥の邪魔をなるべくせず、巣の確認は常に早朝、できれば新鮮な餌が提供されているときに行うべきです。

鳥の反応を観察することで、より継続的に観察できるペアと、巣の近くには近づかない方がいいペアがわかります。私たちは、それぞれの交流範囲を判断できなくてはいけません。そしてそれは、日々得られる経験によってのみ成し遂げられることを知らなければいけません。