(8)羽根太の方針

「(8)羽根太の方針」

いつもありがとうございます。鳥爺です。

CITES I類の鳥は、ご存知の通り原産地でその生息数が激減しています。

でも条件を満たせば国内に輸入することができ、登録票を明示すれば譲渡もできます。

CITES I類の鳥は希少価値があるため、市場価格は高騰します。

残念ながら日本では需要があるので、輸入が盛んに行われているようです。

また市場価格が高騰すれば、国内でCITES I類の鳥を繁殖させることが増えてくることが容易に想像ができます。

噂ではCITES I類の鳥の有精卵を輸入し、人工孵化させている繁殖家がいると聞いています。

孵化したヒナは、すでに所有している鳥のペアが繁殖したように申請すれば、登録票が作れます。

実際、私のところにも海外のあるブリーダーから、「卵を買わないか」という主旨のメッセージが届きました。

たぶんその繁殖家は、SNSを見て片っ端からメッセージを送ったと思われます。

もし、日本の繁殖家がこのブリーダーと組んで、有精卵を輸入し、人工孵化させ、登録票を偽造して販売をしていたら許せないですね。

また話が脱線しますが、1998年に初めて世界オウム会議に参加したときのことです。

世界中から約800人の愛鳥家が、この4年に一度のオウム会議に参加していました。

参加者にはいろいろな立場の方がいます。

鳥学者、鳥保護団体、繁殖家、販売業者などです。

このとき日本人は私たちを含めて2組が参加していました。

私たち以外の日本人は販売業者(ブローカー)です。

まだTSUBASAを設立していなかったので、私は「CAP!」という立場で参加しました。

最初にびっくりしたのが、たくさんの方が私たちに声をかけてきたことです。

私たちは声をかけた人たちを知りません。

話をすると、そのほとんどが繁殖家だったのです。

つまり日本人だとわかると鳥を売り込んでくるのです。

オウム会議はいろいろなセミナーを聞ける場でもありますが、ビジネスの場でもあったのです。

そして逆に私たちを避ける、というか厳しい表情で見ている人たちがいました。

それは保護団体の人たちです。

私たちが日本人だとわかると、特に希少野生種の鳥の保護活動をしている人は、あからさまに軽蔑したような視線を送ってきます。

この違いを皆さんはどう思いますか?

繁殖家にとって日本は、大きなビジネスチャンスが転がっている国なのです。

一方で保護活動家にとっては、経済優先で希少野生種が住む環境を破壊する国、のように思われていたのです。

海外での日本人は評価を知ったときは、ほんとうにショックでした。

1998年といえば、まだ野生の鳥が捕獲され、違法に輸入されていた時代です。

その輸出先の多くが日本だったのです。

オウム会議で印象的だった講演は、「密猟者に密猟を止めさせ、新たにエコツアーという仕事を与えることで、生息地の鳥を守る活動」でした。

つまり、ほんの20数年前までは密漁が盛んに行われていました。

その理由は、

欲しい人がいるから密漁する。

密漁する人は、密漁しないと家族と共に生きていけないからです。

だったら危険な密漁をやめて、エコツアーガイドになってもらおうと保護活動家は、粘り強く説得します。

なぜなら密猟者の彼らは、鳥がどこにいるか一番知っているからです。

この活動を講演で知って、なぜ日本人に対して厳しい視線を送ってくるかがわかりました。

また同時にオウム会議の場で、生まれて初めて日本人であることが恥ずかしかった瞬間でもありました。

そういえば一昨年、第1回WINGYOUセミナーでシンガポール在住のDr.ジェシカ・リーさ講演をしていただきました。

実際に聴かれた方もいらっしゃると思いますが、その中で名指しはしていませんでしたが、鳥たちが流通している「矢印」が一番集中していたのが日本でした。私が体験した20数年前ではなく、一昨年においてもまだ日本だったようです。

(つづく)

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コメント

  • コメント ( 5 )

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  1. おはようございます。
    保護団体から日本人であるだけで軽蔑までされる国民でいることが悲しいですね。CITESのページは経産省や外務省のページにあり、あくまで商取引に関しての注意事項にしか見えず、保護の考えが感じられませんでした。クロマグロの漁獲量が増えた事が嬉しいニュースになるのにオガサワラシジミの絶滅は悲しいニュースにもならない、軽蔑されても仕方ない国民なのでしょうか。土用の丑の日は過ぎてしまいましたが日本ウナギもCITES II類で、毎年うちでは日本産をやめさせる為に一悶着あります。

  2. こんにちは。
    ジェシカ氏の講演と同様のお話がヨウムの件でもありましたよね。
    TSUBASAでの西原氏の最初の講演で、今でもヨウムがアフリカから輸入されていると仰っていました。
    日本に入っているヨウムは、フィリピン産ではなくアフリカから来ていますと。
    あくまで東南アジアは経由地。
    フィリピンやシンガポールに密猟した雛や卵を持ち込み、足環をはめればいいだけですから。

    ここからは聞いた話になり、証明できませんので「噂」として書きます。
    ※西原氏やジェシカ氏は調査した上でのお話です。

    昔、ヨウムの価格が一気に安くなったのは、日本の、とある業者がアフリカでヨウムの雛を密猟させて南アフリカに入れ(南アフリカにはヨウムの繁殖場があります)そこから(恐らく東南アジア経由?不確定です)日本に正規の繁殖個体として輸入したと。
    大量に仕入れたので安くなったそうです。

  3. Lucyさん
    海外の鳥関係で意識の高い人からは、そういう目で見られましたが、概ね日本人は好感を持って接してくれます。今まで築いてくれた先人者たちのおかげです。
    私たちも次の世代に良いところは引き継ぎたいと思いますので、できれば鳥関係も尊敬されるようにしたいです。

    rieさん
    たしかにアフリカで繁殖したヨウムがたくさん輸入されていました。
    そういうことだったのですね。
    貴重な情報ありがとうございます。
    やはり日本が関係していたと思うと残念です。

  4. 松本さん
    アフリカから直接だったのですね。
    (そこまで突っ込んで聞いていなかったので、今更質問しづらく…)
    ヨウムを輸入したときに、PBFD持ちの鳥と同じ空間にいたのか、どうやらそこでうつって一気に日本に広まってしまったと聞きました…

    3年ほど前に、空輸の際に確実にウィルス検査をした鳥と他をわけるように申し入れているけれど叶わないと聞いたことがあります。それなので、きちんと検査している繁殖会社の鳥も輸入時に危険に晒されてしまいます。

    CITES1類でも、繁殖して輸出が許可できる個体が少ない種類と多い種類がいます。
    ヨウムは多いと思います。
    少ない場合、近親での繁殖が多くなり、先天的に異常がでてしまうことも増えていて、ニョオウインコなどはその典型的な例だと思います。
    尚、ニョオウインコはブラジルでは飼育そのものが許可されていないそうです。
    繁殖して生息地にかえすにしても、血は考えないと難しそうですね…

  5. 繁殖に関してはいろいろと問題が多そうです。
    でも、もうこれ以上放置することはできないので、私なりに動くつもりです。
    今は希望は見えませんが、行動することで希望が見えると信じています。

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