オウム類の自立 ― 大きな挑戦

ラファエル・サモラ・パドロン
ロロ・パルケ財団 科学ディレクター


ヒナを親鳥から自立させることは大きな挑戦であり、特に人工育雛の場合は正しく行うことがさらに難しくなります。スズメ目の鳥の多くは発育が早く、1か月あまりで独立しますが、オウム類の場合、この段階はより複雑で長期にわたり、社会的学習やさまざまな刺激が必要となります。

各オウムの種には異なる要求があり、すべての個体が望ましい時期にうまく独立できるわけではありません。待つこと、適切なタイミングで判断すること、場合によってはプロセスを後退させる決断をすることが、この自立段階の一部です。

自然界では、親鳥が給餌を減らし、ヒナを巣から出して親鳥の後を追わせる時に分離が起こります。この時期はヒナにとって最も脆弱で、巣から飛び出せない個体や、捕食者に襲われる個体もいます。そのため、自然下での成功率は私たちが考えるほど高くありません。

飼育下では、この結果を改善することが可能です。ここでは「親鳥が育てる場合」と「必要に応じて人が育てる場合」を区別する必要があります。前者では、親鳥は自然界と同じように、ヒナを巣立ちへと導き自分で採食するよう促します。ただし種によっては、オス親がヒナと巣立ち直後に争うことがあり、飼育者は過剰な縄張り行動に注意して、親鳥と分ける最適なタイミングを見極める必要があります。

ヒナをメッシュ越しに親鳥と見える状態で分けたり、室内ケージに移すことで攻撃を防ぎ、親鳥が外から給餌を続けられるようにする方法もあります。

 一方で、親鳥が次の産卵を始めるため、ヒナとの視覚的接触すら断たなければならない場合もあります。これは特に年齢の異なるヒナがいる場合に複雑で、若いヒナは自立のためのサポートが必要になります。

初めての飼育者にとって、これらは大きな不安要素であり、多くの観察・経験・学びが求められる場面です。したがって、望ましくない結果が出ても落胆すべきではありません。

親鳥が抱卵や育雛をできない場合に補助的に人工育雛を行うと、自然育雛に比べて自立の過程は長くなる傾向があります。とはいえ、若鳥が弱らないように適切なタイミングでこのプロセスを進められるかは、飼育者の判断に大きくかかっています。

人工育雛では、まだ挿し餌をしている段階でも羽が生え揃ったら、ヒナが餌を目にできるようにすることが重要です。果物や野菜に直接触れさせるのも効果的です。食べられなくても、遊びながらクチバシと舌で扱うことで、自然な採食行動を発達させます。これは特に大型インコや全てのオウム類にとって重要で、独立までにより長い期間のトレーニングが必要です。

人工育雛における基本的な考え方は、自然を模倣しながら徐々に給餌回数を減らし、自分で食べるように促すことです。その際のポイントは以下のとおりです。

  • 単独飼育のヒナは、兄弟や近縁種と一緒に育ったヒナよりも独立が遅れる。
    競争が自然行動を刺激するためである。
  • ヒナがしつこく餌をねだっても、自立を始めさせることが大切。
    早く自分で食べるようになるほど将来の健康は良くなる。
  • 親鳥に育てられて独立した個体を、自立途上のヒナと一緒にするのは有効。
    その存在だけで仲間の成長を促す。
  • 殻付きの種子を砕いて与えると、殻を割る練習になる。
  • 自立期のヒナを入れるスペースは、広く清潔で動きを促す刺激があることが望ましい。
    よく動くことで、自ら採食し、餌ねだりをやめるようになる。

ロロ・パーク財団では、現在も多くの個体がこのプロセスを経験しています。すべての個体を注意深く観察し、必要に応じて対応を変えることが大切です。この段階は、彼らの将来の健全な発育にとって極めて重要であることを忘れてはいけません。

©2025 Rafael Zamora Padrón, M.Pérez – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局

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