羽毛のメンテナンス

ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター


繁殖期が進むにつれて、繁殖センターが懸念することのひとつに、鳥たちの羽の外見を良好に維持することが挙げられます。

弱い羽毛は、最初の換羽でより良質の羽毛に交換されるため、成長段階での羽毛の質は重要ではないという認識不足が以前はありました。

成長期の鳥の羽の一本一本が将来の生活の質を左右する重要なものであるというのが現実です。寒さや暑さから身を守り、よりよい成長を遂げることができるかどうかは、羽根の一本一本にかかっています。

生後数ヶ月の鳥が、羽毛が原因で大事な保温ができなかったり、もっと言えば羽毛が原因で飛べなかったりすると、健康に直接影響することになります。

鳥が仲間に接する態度や、人間の管理下での健康状態も、羽に大きく左右されるほど重要です。 

毛繕いをするヒワコンゴウインコ © M.Pérez/LPF

羽毛にツヤがあり、丈夫な鳥は、鳥舎で一番いいポジションを確保することができます。最もよく飛び、最も羽をなびかせ、鳥舎の仲間の前で強くなれるのはこの鳥でしょう。また、自分のテリトリーを確立する方法を知っているので、最高の餌場となるでしょう。

専門のブリーダーは、このような状況を見分ける方法を知っています。羽が汚れたり、傷ついたり、損傷したりしている鳥は、内気で引っ込み思案な行動をとり、集団の中で競争する能力に欠けます。

羽は、栄養面でも基本的な役割を担っています。空を飛ぶ鳥は、よく食べます。運動してエネルギーが必要なため、お腹が空くのです。  そうでない鳥は、食べた分を消費しないので、より餌を選り好みし、栄養が偏るのです。

これらの理由から、生後数日から幼鳥の鳥を清潔に保つことが飼育者の責任です。多くの場合、損傷した部分をきれいにしたり、落ち着いた状況で羽を回復できるよう隔離する必要があります。

羽の生育を良くするために、満たすべき前提があります。

– 清潔な水浴び場を提供する

– 常に清潔な空間を提供する

– 新しい羽を作るために高品質の栄養を与える

– 飛んだり跳ねたりする意欲を持たせる

– 休息とグルーミングのための十分な止まり木を提供する

– 外部寄生虫の予防管理

ロロ・パーク財団では、長い歴史の中で、人工育雛の鳥の羽毛が最適な環境で育つと、性格が穏やかになることを確認してきました。鳥はより自信を持ち、巣立ちの段階や最初の換羽を進めるための手段をより多く持っています。

また、成長期に羽がなくなると、体は新しい羽を作ろうとします。これはつまり代謝エネルギーの損失です。そのため、最初から羽を維持することが非常に重要なのです。 現在、多くのコンゴウインコが成長期を迎え、前年度から独立したコンゴウインコは、筋力アップ、羽繕い、社会化の段階に入っています。全ては鳥の長寿のための健康を保証するものです。

©2022 Rafael Zamora Padrón – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局

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Cover photo by M.Perez/LPF (飛ぶための練習をするスミレコンゴウインコ)

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コメント

  • コメント ( 2 )

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  1. 今回の記事は、かねてより個人的な経験則から感じていた「羽毛」に関する事柄を裏打してくれるものでした。

    羽毛の状態は体調のコンディションに左右され、また逆も然りです。
    鳥たちには行動の自由があり、危険や嫌なことから自らの意思、及び行動にて回避できる事実によって、彼らの精神的余裕が生まれます。
    その結果、性格が穏やかになり、必要以上な攻撃行動を起こさないと常々感じていました。
    ある種の行動を制限することにより、肉体的、精神的、その後の成長にまで影響を与えると感じます。
    それだけ鳥にとっての「羽毛」は大事な機関なんだと考えています。
    #ケージ内ではなく放鳥時の話です。

    そして何より、
    健康的な羽毛は美しいですね。

    とても良い記事をありがとうございました。

  2. べべべさん、コメントありがとうございます。
    私もこの記事を読んで、羽毛の重要性を再認識しました。しかも、成鳥期だけでなく幼鳥期からのケアが大切なんですね。

    それを実体験で感じていらっしゃったべべべさんの考えを裏付けする記事だった事、嬉しい限りです。

    ロロパークとラファエル氏のニュースレターをこれからも楽しみにしてくださいね。ありがとうございました。

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