大切な命のために忘れてはいけないこと 12
カッコウ というとその特異な鳴き声で有名です。
また 自身で子育てを行わず ほかの鳥に托卵して子育てをする鳥としても知られています。
ただ、実際は約120種いるカッコウの仲間のうち3分の1は,自身で抱卵し、子育てをしています。
マダガスカル島に生息していたマダガスカルジカッコウ(マダガスカルカッコウ)も、托卵はせず
自身で子育てをしていました。
この鳥は体長55㎝もある、カッコウ種の中では最大の鳥でした。
また 羽毛も背部青色、腹部黄色の大きな美しい鳥で非常に目立つ鳥でした。
はじめて見つけた人はその姿に「忘れ得ぬ美しい鳥」だと称しました。
カッコウ種の鳥は 大食漢で知られており マダガスカルジカッコウも多くの食料を必要としました。
特に子育ての際、ヒナの食欲はすざましく親鳥は餌運びに奔走しなければならなかったといいます。
マダガスカルジカッコウの主食は マイマイ(カタツムリ)です。
この鳥の長いくちばしはマイマイをとらえて殻から取り出すのに適した形になっており 器用に食事をする姿から
「マイマイ食いカッコウ」の異名もありました。
1896年 マダガスカル島は フランスの統治下におかれることになりました。
同時に多くの移民が入島しましたが 移民を運んだ船は人々のペットとともにネズミなどを持ち込みました。
やってきたネズミなどは カッコウの主食だったマイマイを横取りするようになりました。
同時に、主な生息地だった森林地帯がどんどん農地や牧場にするために焼き尽くされたことで マイマイの
生息数が激変しました。
その結果、1900年ごろには、すでにほとんど見られない鳥になっていました。
その一方で 大型で美しいこの鳥のはく製は ヨーロッパで人気でした。
美しい羽毛も同様で高値で取引されており 商人たちは現地での採集に賞金を懸けてけしかけましたが1934年に
採集されたのを最後にマダガスカルジカッコウは姿を消しました。
生息地を追われ、主食を奪われたマダガスカルジカッコウは ほとんど記録を残さず絶滅したといわれています。
現在 博物館等に約13体のはく製のみが残され、その美しい姿を伝えています。
インドネシア ロマン島に生息するミドリホオテリカッコウ、インド周辺に生息するアカガオバンケンモドキ、
エクアドルのシマアメリカジカッコウなど 絶滅報告はされていませんが生息確認されていない種もあり、
絶滅が危惧されています。
他のカッコウ種においても生息地の破壊等により 絶滅を危ぶまれている種が多くあります。
他の動物たち、鳥たちでも起こってきたことですが、特に島など限られた環境に生息する固有種は、人が直接
手を出さなくても、絶滅に至る例が多いのです。
しかし、その原因となったことは人の入島であり、それによって持ち込まれた動物などが引き金を引いたことは
間違いのないことです。
それは 島国である日本にも言えることで、現在は検疫など入国時の水際対策が勧められてはいますが、
それでもその小さな隙から入ってくる外来種はあとをたちません。
(ヒアリ、セアカゴケグモ、ホンビノス貝など)
外交が増え、行き来する人が増えていますが、たとえ旅行や観光でも行った先の環境を破壊しないことも
考えていただきたいと思います。
なお マダガスカル島には開発されていないボアンタラレー地区の森林では まだカッコウが生息している
可能性があるといわれています。
多くの研究者が調べているようですが 未だ良い知らせはありません。
(写真上 マダガスカルジカッコウ 下 アカガオバンケンモドキ)
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