暗闇と鳥

Rafael Zamora Padrón, Scientific Director, Loro Parque
ラファエル・ザモラ・パドロン
ロロパーク財団 サイエンティフィック・ダイレクター

暗闇の重要性

鳥が暗闇や薄暗がりの中、またどこでどのように夜を過ごすのかについては鳥の飼育・管理の話の中で通常取り上げられません。しかし、鳥の飼育施設で注意しなければならない状況が夜間に発生し、手遅れになるまで気づかないことがよくあることから、その重要性が指摘されています。ロロ・パーク財団では、どの種の鳥にも必要な日照時間と日光の重要性について常に取り上げています。光と同様に、暗闇は動物たちの休養にとって重要なのです。

鳥は安全で保護された場所で落ち着いて休む必要がありますが、夜は寄生虫や捕食者が姿を現す時間でもあります。そのため、夜間の鳥の平穏を保証する必要があります。オウムのように、虫や爬虫類などの夜行性の生物に対して不安があると、襲われなくても恐怖を感じ、羽や性格に問題が生じる種もいるからです。鳥が寝る場所は、日中過ごす場と同じくらい重要です。

良い休息のための止まり木の位置

鳥は良い休息をとることで、健康でいることができます。そのためにも、寝るための止まり木は高い位置に設置しなければなりません。また、快適で、常に清潔でなければなりません。止まり木や寝る場所となる枝木を置く場所は、室内で、空気の流れから守られた場所でなければなりません。そうすることで、鳥たちは夜になっても体温が下がらないため、エネルギーを失うことがありません。

©MPerez LPF

朝の気温が低く、太陽が出ていない場合、体温回復は非常に困難です。夜間に活動する昆虫や外部の動物から、これらの止まり木を隔離することが重要です。ヤモリ、ネズミ、ゴキブリ、寄生ダニなどは、私たちが気づかないうちに数日で鳥を弱らせてしまいます。夜を恐怖に感じて神経質になっている鳥は、最悪の場合、自咬症に至ることもあります。
これは獣医師にとって難問で、診察の際、身体ではなく精神的な問題の根本原因に気づかないことがあります。すべての鳥小屋が屋内にある飼育センターでは、夜間に鳥が自分の位置を確認できるよう、小さな発光体が置かれていることがあります。これは、予想外の音や、猫やげっ歯類の侵入により、鳥が驚いて囲いの側面に衝突してしまうことを想定してのことです。この救済策は非常に有用です。しかし、本当は、鳥が安静に過ごせるよう必要な暗さを提供することが一番であり、最も自然なことです。

嵐と花火

鳥が過敏になるのは他に、嵐の時や花火の近くにいる時です。夜間の閃光による混乱に雷や爆竹の轟音が加わり、悲惨な結果になることがあります。解決方法は、普段たまにしかないこのようなイベントの間、鳥が正しい場所に正しく止まれるような光を置くことです。しかし、これは絶対確実な救済策ではありません。サトウチョウなどの小型鳥や、より敏感で小型のオーストラリア種は、花火大会の際に心臓発作を起こすこともあります。ロロ・パーク財団では、通常、鳥に安定した止まり木を提供し、常に静かに休める場所を提供しています。また、嵐や夜間の予期せぬ天候に見舞われる非常時においては、鳥が楽に位置を特定できるようなライトシステムを作動させています。

揺れることなく安心できる安定した止まり木は、夜の暗い時間に鳥が守られていると感じるための強力なポイントのひとつになります。鳥が鳥舎の安全性を信頼することは、動物愛護の最も重要な前提条件のひとつです。

©2021 Rafael Zamora Padrón – Loro Parque Fundación
翻訳:WING YOU事務局

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