大切な命のために忘れてはいけないこと 4
中生代に繫栄した恐竜の子孫が鳥類であるといわれています。
一部の恐竜が獲得した羽毛。
始めは自らを守る保温のため、または卵を温めるためという説もあります。
小型の羽毛恐竜の一部が敵から逃げるために木から木への滑空をするようになりました。
やがて滑空から羽ばたける翼を作り、骨格が軽量化され空を飛ぶ鳥へと進化しました。
鳥類にとっての最高の進化は空の支配だったといわれています。
しかし、一方で飛ぶことをやめた鳥たちもいます。
ダチョウの仲間のように走ることに特化したもの、ペンギンのように水中で泳ぐことに特化したもの。
鳥たちはその地域に応じて変化し進化してきました。
たとえ飛ぶ力はなくても 脚力の強さで外敵から逃げたり、戦う強さを得たりしました。
その一方でドードーのように飛ぶことも、泳ぐこともできず、脚力さえないような鳥たちも存在しました。
多くは 島などの孤立した生息地域に暮らし、地上では彼らを襲う天敵のいない世界では 動きが鈍くても
警戒心が少なくても暮らしていけました。
彼らにとって脅威となる敵はたまに空から現れる猛禽類程度でしたが 森林に身を隠し多くの仲間と群れることで
それも回避できました。
もし 人が島へ上陸することがなければ、今でも彼らの繁栄は続いていたかもしれません。
せめて ほかの動物の持ち込みがなければ、環境の維持はできたのかもしれません。
レイサンクイナも ドードーと同じく 人が侵入したときに上陸したネズミにより雛や卵を駆逐され、
絶滅しました。
レンサン島は孤立した険しい環境の島で レンサンクイナはその環境に特化し、生息していました。
島にはほかの多くの水鳥の繁殖場となっており グアノと呼ばれる堆積物が多量にありました。
グアノは当時肥料としての価値が高く 島に入ってきた人間によって採取されるようになりました。
また 人間はウサギやモルモットを持ち込み、彼らによってクイナの繁殖地は壊滅的になったのです。
クイナの絶滅を危惧した一部の研究者により1933年、捕獲されたクイナたちは近隣のミッドウェイ諸島に
はなされ、そのおかげで一度数を回復することができました。
しかし その後第2次世界大戦が勃発し、ミッドウェイ諸島には多くの艦船が立ち寄ることになりました。
そして軍艦は人とともに多くのネズミを積んでいたのです。
船で食物に飢えていたネズミたちにとって安易にとらえられるクイナの雛や卵は格好の標的になりました。
ネズミの繁殖力の強さもクイナたちにとっては脅威でした。
1943~44年 レンサンクイナはすべての島から姿を消しました。
クイナの仲間は飛べないという進化をたどった鳥ですが その分警戒心は強く、速く走る脚力があったところは ドードーより機敏性にたけてはいました。
しかし、天敵のいない環境での繁殖を続けていたクイナたちには新たな敵に対応するためにはあまりにも時間が
ありませんでした。
同時期 ウェーク島の固有種であったウェーククイナもレイサンクイナと同じ理由で絶滅の道をたどりました。
クイナの仲間は 鳥類の中で絶滅の危機が大きい種であるといわれています。
16世紀以降 20種のクイナが絶滅しています。
現在 日本に生息するヤンバルクイナも 外部から持ち込まれたマングースなどにより絶滅に瀕している種の
一つです。
マングースは もともとハブを対峙するために移入されましたが野に放たれたもののハブより安易で捕獲しやすい
固有種(アマミノクロウサギ、オキナワトゲネズミ、ヤンバルクイナ、オットンガエル等)を捕食するように
なりました。
そこに生息しない生き物を移入することは 固有種として生息してきた生き物たちにとって脅威でしかありません。
特に 島など閉塞した地域で生きてきた生き物にとっては他に逃げ場もないのです。
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