lostbiography    忘れないこと

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大切な命のために忘れてはいけないこと 

現在 日本国内には 600種を超える野鳥が生息しています。
野鳥として普通にみられる鳥の中にはもともと日本には生息せず 人によって移入されたり 故意に遺棄されたり
飼い鳥の籠脱けなどにより 野生化し繁殖している鳥たちも多くいます。
カワラバトから野生化したドバト、ソウシチョウやガビチョウなども 過去ペットにするために輸入されたものが
逸走、もしくは一部には故意に放鳥など、野外で環境に適応して 国内繁殖して生息しています。

日本にはかつて オガサワラガビチョウという小型の鳥が生息していました。
外来種のガビチョウがスズメ目メチドリ科に分類されるのに対し オガサワラガビチョウはスズメ目ツグミ科に
属しており全く別の鳥です。
種は違いますがガビチョウによく似ている、という理由でガビチョウの名前がつきました。
オガサワラガビチョウは 天敵の少ない離島に特化して生息していました。
1828年に発見され 4羽の標本が採集されましたが その後発見はなくまもなく絶滅したもの、とされています。
一切の資料がないため、絶滅までの経過などは不明ですが ほかの離島と同じく人間の持ち込んだ猫やネズミによる食害が有力ということです。

同じく小笠原諸島に生息していた オガサワラマシコは、アトリの仲間で 現存するオオマシコ、ギンザンマシコ
などと近い種類です。
アトリの仲間は国内での渡りをする種もあり 離島から本州などへ渡ってくるものもありましたが
オガサワラマシコは 渡りをせず島に特化して生息していました。
他もマシコより大型で、特徴的な大きなくちばしを持っていました。
1827年 訪れたイギリス人によって最終確認されたのが最初で、1829年新種として認定されました。
さえずる声も美しく、人を恐れない性格でしたが この鳥を飼い鳥として捕獲した記録はありません。
1888年島で生息確認をされたが すでにその姿も美しいさえずりも消えていたということです。
この鳥についても 標本数は少なく全世界に10点余り、日本国内には標本はありません。
絶滅理由は はっきりしませんが やはり移入された猫などによる食害が有力とされています。

日本には もう1種 詳細のわからない絶滅鳥類がいます。
ミヤコショウビン。
宮古島に生息した固有種ですが 採集された標本はたった1羽。
その後の採集も記録もない幻の鳥です。
ミヤコショウビンはカワセミの仲間で現存するアカショウビンなどと近い性質だったと推測されています。
色合いは3色の鮮やかな羽毛に覆われていました。
1887年 田代氏により採集された標本は誰にも新種との鑑定はされずそのまま放置されていました。
それから30余年、初めて黒田長福氏により日の目を見て新種として鑑定されました。
ただ、一切の記録などがないため、この鳥が現地に生息していたか、もしくはほかの場所から飛来したものかは
一切不明ですが その後、どこからも同種の発見はなく 発見時当初において絶滅したものと予測されています。
なお アカショウビンなどの生息状況から想像したとき この鳥が生息するためにはある程度の熱帯雨林などの
環境が必要であり。当時の宮古島においてはマングローブの林が少しあるだけで
ほとんどが石灰岩に覆われた島であったため、もし発見当初生息があったとしてもごく少数でその後、人の介入で
マングローブが伐採されたことで絶滅したという説もあります。
なお 宮古島の土壌からは ゾウやシカなど大型哺乳類が発見されていることから この島はかつて熱帯雨林性の
島であり、火山の爆発で水没したとの説も有力化されています。
島が隆起した際 残されたマングローブ林のみがミヤコショウビンにとって最後の楽園だったのかもしれません。

絶滅の原因が謎、といわれていても 人による何らかの介入が影響していることは否めません。
人類は唯一 環境さえ変化させる力を持っている生き物です。
その力をどう使うのが正しいのか考えて行動することが必要なのではないでしょうか?

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コメント

  • コメント ( 2 )

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  1. こんにちは。
    いつも興味深く読んでおります。
    種の淘汰は生き物としてあるものであり、避けられないとは感じます。
    しかし人が介在する場合は、それが自然なのか不自然なものなのか悩むところです。
    力強く生き残る種もあれば、些細な変化で滅びに進む種もあり。
    今後、数世紀を経た世界はどのような世界なのかなと考えたりしてます。

    さて。
    ミヤコショウビンですが、私は種としては存在しなかったと思っています。
    その標本個体がどのようなものかはわかりませんが、色変わりなどの変異体、あるいは何かしらの亜種だったのではと。
    どちらにしろ謎が多い鳥で、とても興味をそそられますね。

  2. そうですね。このブログのためにいろいろ調べていくと中には自然交配による交雑種や奇形などの変異種を新種登録したと後でわかるものもあるようです。なぞも多くて本当に鳥の世界は奥深いと改めて感じています。

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