
ヘレナ・マルケス著
F.ザビエール・ヴィアデール著
2018年8月(シッタカス提供)
野生の鳥の食性と食餌
オウム目(Psittaciformes)には380種以上がおり、熱帯・亜熱帯・温帯の3大陸に分布しています。
文献によれば、このグループの食性(トロフィック・スペシャリゼーション)は非常に多様で、以下のような種類が見られます:
- 花食性(florivorous)
- 果食性(frugivorous)
- 穀食性(granivorous)
- 蜜食性(nectarivorous)
- 雑食性(omnivorous)
それぞれの食性に応じた食べ物は、栄養成分に共通点があります。
例えば:
穀食性の鳥
種子や穀物を食べますが、種子はデンプンが豊富で、タンパク質は低〜中程度。油分は種類によって異なり、草の種のように低いものから、ひまわりの種のように高いものまであります。繊維は特に殻をむいて食べる場合、非常に少なくなります。
蜜食性の鳥
水分が多く薄い食餌を摂ります。花蜜は糖分が多く、アミノ酸や脂質は少なめです。この鳥たちは花蜜を集める過程で、昆虫や花粉も摂取しています。
果食性の鳥
多肉質の果実は、糖分と脂質の含有量が逆相関しやすく、タンパク質とエネルギー含量は非常に変動しやすいです。
多肉質の果実は次の2種類に分けられます:
- 栄養希薄な果実:水分が多く、炭水化物が多いが繊維・アミノ酸は少ない。
- 栄養濃縮な果実:水分・糖分が少なく、脂質が10~70%、タンパク質が5~20%と比較的多い(例:パーム、デーツ、月桂樹、サッサフラスなど)。
消化器官の適応
野生の食餌への適応として、消化器官の構造も異なります。例えば硬い食餌は、鳥の砂嚢(胃)の大きさや筋肉の発達度に影響します。オーストラリアのオウム類では、穀食性・果食性の鳥の砂嚢は、蜜や花粉を主食とするロリキートよりも筋肉質です。
飼育下での食餌
飼育下の鳥の食餌内容を考える時、その鳥種の食性、消化器官の構造、必要栄養素の理解が必要です。
また、野生で得られる食べ物と飼育環境で手に入るものは全く違う点も考慮しなければなりません。
スーパーで手に入る果物は、野生で鳥が食べる果物に比べて栄養的に劣ります。
- 野生の果物:高タンパク・高繊維・乾物多め・単糖類が少ない
- 市販の果物:水分・単糖類が多く、栄養密度が低い
栽培種の種子も、野生の種子よりエネルギーは高いですが、タンパク質やその他の必須栄養素は低い傾向があります。
必要な栄養素
鳥はカルシウム・ナトリウム・カロテノイドなど鳥が自然に必要とする栄養素がありますが、複数の食べ物から自分でバランスを取ることはできません。
そのため、適切でバランスの取れた食餌を提供するのは飼い主の役割です。
オウム類の栄養要求に関する文献(McDonald, 2005 など)はありますが、一般的なガイドラインであり、鳥種ごとの代謝・生理的適応を反映できているわけではありません。
例えば、以下の鳥種ではタンパク質、ビタミンA、カルシウム、カロテノイド、ビタミンD、脂肪酸などの要求量に大きな違いが確認されています:
- セキセイインコ
- オカメインコ
- ヨウム
- コンゴウインコ
- ロリキート
脂肪に関して
ヨウムや多くのコンゴウインコは、脂肪分20~60%のパームやナッツを野生で食べており、高脂肪食に適応しています。
一方、ボウシインコやオーストラリアの白色系バタンは低脂肪食に適応しているため、「オウムにはナッツをあげすぎてはいけない」という一般論はこの鳥たちには正しいですが、コンゴウインコやヨウムには当てはまりません。
研究と今後の課題
多くのオウム類については種ごとの具体的な栄養要求に関する研究が不足しています。
経験豊富な繁殖家や研究者、しっかりとした研究部門を持つフードメーカーの知見が、飼育下の鳥たちの健康維持と繁殖の成功に欠かせません。
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